文房 夢類
文房 夢類
myExtraContent1
myExtraContent5

壺猫

文房 夢類
July 2012

白鳥一家

山中湖にコブハクチョウがいる。これは渡りをしないで通年同じ湖に暮らしている留鳥である。県では観光目的に繁殖させて大切に見守っていて、50数羽に増えたところだ。この春の巣作りで、私は4つの巣を見つけていた。時ならぬ低気圧の襲来で1つの巣は卵もろとも壊滅した。3つの巣は県が作ったハウスに守られて順調に抱卵した。40日で雛誕生である。しかしまた、台風のような風と豪雨に見舞われて、湖の水位は目一杯上昇し、巣のあったところは1メートルほどの深さの水になり、1つの巣が沈んだ。これで残った2つの巣が夫婦そろって卵を温めた。そして、ついに雛が生まれた。7個抱いた卵のうち、2個は腐ってしまい、5羽の雛が生まれた。可愛いこと! ところが翌日の午前中に、ひなの1羽がカラスに浚われてしまった。4羽は夫婦に守られて2週間。もうカラスには負けない大きさに育った。もう大丈夫。が、また襲った台風まがいの豪雨が去った翌朝、子どもは3羽に減っていた。もう一方の巣は、この豪雨で流された。親鳥は無事だったが、孵る寸前の卵はすべて無に帰した。いつまでも、何日も、水浸しの巣から離れようとしない夫婦。見ていられない哀れさ。涙が出る。そうして昨日のことだ、白鳥一家が富士山を背景に波に揺られているのを見つけたが、子どもは2羽しかいなかった。アヒルより一回りも大きくなった子たちだが、まだまだ、大人たちの、荒々しい群れには連れて入れない。一家は群れから離れたところで子育てに専念している。4つの巣。平均少なく見て5個の卵として、20の命が誕生する可能性があった。いま、その1割が育とうとしている。ハウスを作ってカラスから守ろうとし、土嚢を積み、餌を置いたりと、人間の努力も加わっての1割である。
アフリカの難民を助ける目的で現地に行った日本の女性が、アフリカの女性に尋ねられた、「あなたは何人の子持ち?」日本の女性が答えて「2人」。すると、たいそう驚いて「どうするの、そんな少しで!」頑張って2人生んだんです、と説明する日本女性と、アフリカのお母さんは話が噛み合わなかったそうだ。数人以上産んで、育つのは1人か2人。たった2人しか生まなかったら、いなくなってしまうじゃないかと呆れられたという。
地球上の生きとし生けるものすべてを案じ、悶絶する。

ヒトの悪口

この私が言うことである、そのつもりでお読みいただきたい私の意見です。(実は、カワイさんでなくて、だれか有名な人が言ったのなら皆が耳をそばだてるんだが、と言われたことがあるのでして)
政治家、小沢一郎について。この際、有名人故に敬称を省略させていただくことにします。
私が、初めて彼に注目したのは、幹事長になったときで、まだ40代だったはずである。名が出るようになってから、小沢一郎ほど悪口を言われる政治家も珍しい。「政治とカネ」という表現で非難され続けた。が、私には政治がどうしたのか、お金がどうしたのか、さっぱりわからなかった。西松事件と言われる一連の事件も、結局はでっちあげの大嘘コンコンチキ。フォローしてきたおかげで私は、日本国が民主国家でなく、三権分立さえもお題目のヘドロ国家であることを知ってしまったのだが、それはさておき、いまは悪口の話です。
出所不明の悪口が漂う一方で(実はメディアの作為だが)個人が公然と悪口を言う。石原慎太郎などは、小沢は大嫌いだという。仙谷由人も、渡部恒三も軽々と言う。ほかにも雲霞のごとくいる。
さて、ここからが私の意見で、この行為が悪い、この考え方について反対だ、という発言は、とても良いことだと思う。言わねばならない。
一方、具体的なことを何も挙げずに、漠然と悪い空気を広めて多くの人に、それを共有させようと図るのは、卑怯、悪質な態度だと思うのだ。誰しも好き嫌いはあるだろう、虫ずが走るほど嫌いだったら、胸底で(嫌いだあ)と思っていればよいではないか。悪口を拡散する人たちや組織は、表だって言えない理由を抱えている。公言すると差し障りが出る、個人的な利得が絡んでいる、そう勘ぐられても仕方がない。悪口は言うべきではない。悪口は、自らを矮小化させる。これは国家を論ずる場合に限らず、自治会などのような泡沫規模でも同じことで、自分を汚し、小さくする。
この長期にわたる膨大な悪口に対して個人攻撃を一切しないでいる小沢一郎という人物を、私は胆力のある人だなあ、と感じている。肚にやましいものを抱えていると、どうしても表情に歪みが出るものだ。麻生太郎、前原誠司の歪みを見ると、よく分かる。

釣り糸

魚を釣るための釣糸の話。昔はテグスだったが、いまは合成繊維。細いのから太いのまでさまざま、私は手芸用に持っている。山中湖畔を歩いていると放置された釣糸が目につく。引き上げられたボートの綱に絡んでいるもの、フェンスにからんでいるもの、木の枝に絡まっているもの、さまざまだが、外せる糸は外してまとめて捨てるようにしている。釣糸は、どんなに細くても強い。引っ張っても切れない。人間ならハサミで簡単に切れるけれど、これを脚に絡ませた水鳥は悲惨、命に関わるのだ。楽しみのために、まわりに迷惑をかけるのは罪悪だ。釣りを知らない私が言うよりも、はるかに詳しく知っている釣人たちの、ほとんどの人は、こんな風に放置したりはしないだろうが、現実にはたくさん見かけるのだ。海で、川で、湖で!
そこで私は提案する。ある一定時間、太陽光線を浴びた釣糸を劣化させる、ぼろぼろに崩れて土に戻ってしまう、そういう釣糸を開発したらよい、というものだ。結構高価なものだが、また買い直さなければならない。どんどん消費することになり、釣りグッズ業界も売り上げが伸びることになるから悪くないのではないでしょうか。
myExtraContent7
myExtraContent8