文房 夢類
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壺猫

文房 夢類
December 2011

寄生木

クリスマスに樅の木のクリスマスツリーを飾る。ヒイラギも飾る。寄生木も飾る。日本では寄生木は、ヒイラギほど有名ではないけれど可愛らしい白い実をつける。日記にも書いたが、山中湖畔でみつけた寄生木は、真っ赤な実だった。気をつけてみると、あるある、あっちもこっちも寄生木いっぱい。元気のよい大木が、梢にサッカーボールの2倍も3倍もあるような球形の寄生木をたくさんつけている。
キノコが生える樹木は老木が多い。樹勢が衰えてくるとキノコがつく。しかし、松茸はちがう。赤松の木から離れた所、しかし赤松の木の周辺に顔を出すのである。松茸は赤松から栄養を貰って育つキノコ。だから松茸というのだけれど、松茸は、地中に伸びる菌糸を通して、赤松のためになる成分を供給している。だから松茸の育つあたりの赤松は、とても元気がよい。共利共生である。元気な大木に鈴成りの寄生木を見て、私は、これは多分、共利共生だろうなあ、と想像している。

無言の行

スーパーのキャッシャーに並ぶ。そばに札が下げてあり「ポリ袋の不要な方は、この札を籠に乗せてください」と書いてある。この札を乗せると、キャッシャーの係の人は、エコバッグを持っている客だな、と了解してポリ袋を渡さない仕組みである。ポリ袋も節約なら、口を聞くのも節約である。
回転寿しに入った。店に入ったとたんに画面があり、そこに何人の客か、を入れる。二人だったら2と入れる。次にカウンター席か、客席か、どちらでもよいか、の3通りから選ぶ。混んでいる時は待ち時間が表示される。順番の番号が貰える。順番が来ると番号が表示される。かくしてカウンター席に落ち着く。ここでまた画面である。希望の寿司を選択、わさびの有無を選択、個数を選択、注文のところを押す。みそ汁、豚汁、茶碗蒸しも同様に注文画面を指先で押して待つ。いよいよ注文の寿司ができた、となると画面が注意音を発し、ベルトコンベアが運んできている事を報せる。食べ終わったらお会計のボックスを押す。すると店員が来て皿数を数え、会計の紙を渡してくれる。口を動かすのは食べる事と、茶を飲む事のためだけであり、声は必要ない。もっとも私は支払いのときに「ごちそうさま」と言いますけれど節約ぶりは極まっている。
自販機で買う、券売機で乗車券を買う、券売機も使わずカードで用を足す。このような前触れが長く続いてきたから、この現象をヘンとは感じないで、むしろ気が楽で好きなんじゃないだろうか。もっと増えて欲しいと思う人も多いかもしれない。相手の目をしっかり見て話す、という仕草がおっくうというよりも負担になってきている人たちが増えてきたと思う。
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