文房 夢類
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壺猫

文房 夢類

天皇即位 もっと言いたいことがある

豪雨が気がかりで、何日か前の天皇家のことを書き残しました。
腹立たしい行いを知るに及び、怒りが収まらない。この怒りは、何に向けられた怒りでしょうか? それとも見当はずれの怒りでしょうか。
怒りの矛先は、詳細に報道された「饗宴の儀」の料理のメニュー、10月22日の内容を知るに及び、その中に含まれていた食材のひとつに向いています。
「饗宴の儀」は、国内外から広く賓客を招いた、天皇陛下即位祝賀の大宴でした。豪華で立派なお料理の何が気に障ったのか、説明します。
献立の中の温物として茶碗蒸がありました。この内容が、フカヒレ、マイタケ、ミツバ。
私の怒りは、フカヒレに向いています。
世界中の大切なお客様の前に、シャークのヒレを「ごちそう」として出したのです。
シャーク ショックに絶句した人がいなかった、と思いますか?

残酷なサメ殺しを見聞きして、眉をひそめていた人々が、日本第1級の宴のご馳走として、サメを食べる羽目になった。
私は食べた、と帰国して土産話をするでしょうか。とても食べる気持ちになりませんでした、と声を落とすでしょうか。
世界中に珍味はあり、それは結構なことですが、世界中が真剣に自然保護を考えている今現在、クジラ、イルカ、サメなどを食材とするありようは、慎重に、深い思慮を持って繊細な神経で向き合わなければならないと考えています。

カナダ・トロント生まれの映画製作者・環境活動家のロブ・スチュアート(Rob Stewart)制作のドキュメンタリー映画「シャークウォーター 神秘なる海の世界」(Sharkwater and Revolution 2006年公開)は、彼の代表作で、しかも世界中で評判になりました。
これはサメの持つ負のイメージを抜け出して、サメの美しさと魅力を伝えようとした海洋ドキュメンタリーです。
彼は世界中のサメを撮影してゆく中で、産業化しているフカヒレ・ビジネスに出会います。
しかも、このビジネスによってサメが既に危機的状況に追い込まれている現実を見たとき、美しい映像を求める当初の目的は環境保護へ視点を移し、マフィアも絡む危険な取材へハンドルを切ったのでした。
劇的な制作意図の変化は話題を呼んで、ついに「フカヒレ使用禁止運動」が起こるまでになった、この有様を日本の人々も知っていたはずです。
続編撮影のためにフロリダでスキューバダイビング中に、37歳のロブが亡くなったことが、さらに注目度を高めていた、この矢先の「フカヒレ茶碗蒸」です。

返す返すも、残念な食材の選択でした。誰が選んだにせよ罪は宴の主にあります。
しかも彼は、水に対して深く関心を寄せている人物と、内外に知られています。
こういうポカをやるんなら、天皇も象徴も降板してよね! 日本の恥じゃないのさ!

地球温暖化

「神田川紀行」執筆のために神田川を取材したとき、両岸沿いに点在する遺跡を意識しながら歩いた。
今、これが頭にある。
遺跡として住居跡が残っているということは、その場所が安全な地帯であったという証拠になるのではないか。
遺跡は川の上流、中流域に点在していた。
下流になると遺跡は突然消えて、歴史の事跡看板が現れ、しかも非常に多い。
そして過密都市「江戸」の水害記録は下流域に集中していた。たかだか20キロの短く細い川だが、東京都になってからも幾度となく水が出ている。
私は、この水害記録を調べてみたいと思った。遺跡をつないだラインの川寄りの地帯が洪水域になっているのではないか? というのが私の仮説だ。
つまり遺跡よりも川から離れた土地に住めば安全なので、昔の人々の住居遺跡は、安全地帯のラインを示しているのではないか、と考えた次第。そして思った、遺跡や出土品は、単なる記録保存のものではない、いまも我々に語りかけてくれているんじゃないか?

東京都と神奈川県の境を流れる多摩川も今回の台風19号水害に襲われた。今回の出水に対して遺跡から声は上がらなかったのだろうか?
リバーサイドなんとか、という洒落た名前の高層マンションが、多摩川を見下ろす絶景の地に建てられて人気の的となっていた。
東京都側は上野毛、等々力、田園調布、久が原、矢口渡と羽田空港方面へ下る形で並ぶ名だたる住宅地、神奈川県側は人気の高い武蔵小杉を中心に河口近い川崎大師まで過密と言える住宅がひしめいている。
この川沿いに建築した高層マンションからは、公園のような河川敷に広がる緑、美しい波模様を見せて光る流れを眼下に楽しめるのである。
こうした建物の地下が浸水した、1Fが浸水した。
この上流の狛江では1974年に堤防決壊、民家19戸が流された。この時はもう、家が丸ごと多摩川を流されて下って行ったのであった。

この小さな日本列島は、本州中央を貫く険しい山岳地帯を抱えている。
日本国土のうち森林は66%、総人口およそ12625万人。この人びとが残り3分の1の土地にひしめいているのだ。過密状態であるのに、少子化を憂えて、もっと人口が増えたら良いと願っているのである。願う一方で、水害で命を失うのである。
これではいくら税金を増やしても焼け石に水ではない、大水に金である。
じゃあ、出水懸念地域に住むのをやめたらどうだ、という話になるが、それができたらいうことはない。崖っぷちだろうが、山懐だろうが、海辺、川べり、躊躇なく住まないと居所がないのが現実である。

神田川に戻ります。
あの、人工的な小さな川の岸辺近くに、有名な人たちの居住地があります。
お殿様たちの下屋敷跡など多々。見事に安全な場所を選んでいるのがわかります。見る人は見て選んでいる。選び取る力も持っていました。

今日の時点に立って改めて思うことは、すでに遺跡など役に立たないんじゃないか、という不安と恐れです。
来年も、今回の19号のような並外れた規模の台風が来るんじゃないか。今回だけの特別台風ではないんじゃないか。
そういう疑いの表情が、出会う人ごとに共通項として認められて不安を増幅させます。
顔を見合わせて囁く、地球温暖化? 海水の温度どう?

不思議だなあ

前からずーっと不思議だなあ、と思っていることがある。でも、喋ったことはないし、誰かが呟くのを聞いたこともない。
それは、日本の天皇一家の衣装のことだ。今月、パレードがあるとかでリハーサルなどの模様が映像に出るので改めて不思議感覚が蘇った。
それは正装の衣装が外国風であることだ。ローブデコルテとやらの、真似もの姿であることが、不思議でならない。
伝統に則った祭祀が行われる、その時にお召しになる和風衣装も揃っているのだし、首尾一貫して日本の天皇一家らしく堂々日本スタイルを通したら見事なのになあ。
日本は戸籍制度などのような古い体質を引きずっており、決して今時の世界水準ではない部分を抱えている一方で、うわべの真似姿をして見せる態度は、人まね小ざると揶揄されても返す言葉もなかりけり、だ。

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