文房 夢類
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壺猫

文房 夢類

生きている水

3.11以来、水道水を飲まず、自然水を汲んで使っている。山地の多い日本列島は、無数に湧き水があるが、都会の人間は、自分だけが知っているという穴場を持たないから、どうしても人の集まる水場へ行くことになる。私は4カ所を、その都度変えながら回って水を汲んでいる。そのうちの2カ所が深層水で、あとの2カ所は表層水だ。水汲みの人たちは、タンクに1個2個とかペットボトル数本というのならかわいいものだが、タンクを10個、20個、などというのはザラである。ペットボトルも、6本入れたダンボール箱を10箱20箱と持ってきて水場を独占するから行列ができる。大家族なのか、レストランか、売るのか。私にはわからない。ともかく私も水を汲んで持ち帰り、流しの脇に置いたタンクに入れて使ってきた。ところが、ふと見て息が止まった。タンクの内側が薄緑色なのだ。洗って入れ替えているのに。苦労して汲んできた水だと思うから大切にして、何日も使うのが問題なんだと思った。自然水をそのままポリタンクやペットボトルに閉じ込めたから、死んでしまったんだと感じた。市販の水は加工されている水だから自然水ではない。湧き水も地下水も、川の流れも常に動いている、生きている。日本の豊かな水は軟水で、美味しい水、生きている水なんだと、あらためて思った。
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