文房 夢類
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壺猫

文房 夢類

座禅一周年

昨年の5月の末ごろに始めた座禅が、一年間、一日も休まず続いた。だれかに報告するわけではない、自分自身との約束。続いたからといってご褒美が待っているわけでもなんでもないが、身のうちから喜びが溢れた。
まずは健康だった、ということで、寝込んでしまったら座っていられないわけだから大感謝。
わが友猫は、自分本位のわがまま者で、外で遊びたいよう、とねだる。そのねだり方が猛烈で、意識的に爪を立てて私の脛をひっかくのだ。爪を切っているから先端は丸いのだが、爪の使い方に長けている。6歳にもなると、こういう知恵が生まれる。たまらずに、わかった、わかった、とハルターをつけてやり、遊びに出ることになるが、なんと! 座禅中にねだりに来なかった。一度もなかった。これはすごいことだ。パソコンとにらめっこしている時は平気で引っ掻きにくるのに、座禅では待っていてくれた。
富士猫はともかくも、休まず座ってみて初めて発見できたことがいくつもあった。静なる体操。じっとしているから運動不足ではない、頭を立てて背骨をまっすぐに、臍下丹田に力を入れて座すことは、体の修行なのだった。
呼吸の制御。これも健康保持にどんなにか力を加えてくれたことだろう、私には向いていたのだと思う。雑念に振り回されず、妄想を退けて座る、これを日に一回でも真面目に行うということは、パソコンで言えば再起動をかけるような働きがあるのではないかと感じた。
最近パソコンを壊さず、無事に運行できている原因の一つは、まめに再起動をかけることじゃないかと思っている。人も、再起動をかけることが、むしろ次に続く時間を新鮮に、濃密に使うための力となっているように感じる。
再起動をかけるとゴミが消えるのである。しかも外気に接して座れば、これから近づく夏至、秋の彼岸へ、そして冬至、春彼岸へと、太陽のめぐりに接する精神が気宇壮大にならざるをえない。
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