文房 夢類
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壺猫

文房 夢類

福島汚染地域の動物たち

先日の講演「福島の動物と放射能」について、思うことが広がる一方なので、ともだちにメールで伝えたりしている。もっとも、ペンクラブでも、講演会に来た人数は、わずかであっても、参加者は書く人たちだから、何倍にも広がるだろうと予想しているらしい。ボランティアによって保護され、新しい里親のもとへ落ち着いた犬や猫たちは多い。しかし、これらの保護された犬猫は、放射能で汚染されていない。立ち入り禁止区域内の家畜、ペットなどは殺処分するようにというのが政府の方針だそうだ。
高濃度に汚染された地域内で、動物たちはいま、どのような状態でいるのか。その有様を1時間ほどの映像で見た。鶏舎内の鶏は全滅。牛、ブタは畜舎内で死んでいるもの、逃げ出して野生化したものがいる。畜舎内の惨状は目を覆うばかりである。舗装道路も草の道も、動物たちの死骸で一杯、そして放置されたままである。2年経った今、犬は、1匹もいなくなった。全滅。みな死んでしまった。猫はあちこちにいる。2匹、3匹と集まってじっと見ている。説明によると、これらの猫は2代目の猫たちであって、親猫は全部、死んでしまったという。死因は、飢えと、それ以上に病死だという。猫よりも犬の方が人間に密着して生きていて、それだけに生き抜く力が弱かったらしい。ブタはイノシシと仲良くなって、イノブタが増え、一団となって舗装道路を駆けてゆく。太って元気そうだ。牛はどうだろう。里山の裾、下枝を落とした杉林の直立した幹の向こうに牛の群れがいた。5頭、10頭、もっといる。これが群れを作って走ってゆく。牧場で、のんびり佇んでいる牛とは別の動物としか思えない。先頭の牛がカメラに気づいた、立ち止まり、カメラを凝視する。肩を上げ首を伸ばして鋭く伺う目つきは、緊張感に溢れた野生の目だった。野牛じゃないか、と驚いた。牛も、どぶ泥の溝に落ちて死んだり、慣れない自然の中でずいぶん命を落とした形跡があるが、野性に返った牛たちは放射能による深刻な影響……、白斑が毛並みに混じる症状を見せながら群れて生きている。ボランティアの力で、置き餌を続け、牛にはロールの干し草を置いている。これで生きていけるだろう、とは人の願いである。置き餌のおかげで、アライグマが異常繁殖し、これが強いのだそうだ。猫など近づけない。餌はアライグマの大繁殖に役立ってしまう。
殺処分せよ、というが、間違っている、と解説の人は言った。白斑、ツバメなど鳥にも異常が見つかっているのだから、調査研究すべきだ、殺してしまって蓋をするのは間違っている、という。野鳥の会の人たちは、野鳥を調査している。
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