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壺猫

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禁じられた遊び

いまごろ、半世紀以上前に作られた映画について、なんでかなと思うが書きたくなった。この映画は勿論モノクロ・スタンダードで87分という短い作品である。
パリ陥落。1940年。爆撃機が機銃掃射する、その機体にナチスのマークがハッキリと映る。当時の残虐な情景が、このワンシーンで定着する。一挙に両親と犬を失い、孤児となった5歳のポーレットが、死んだ犬を抱いてさまよううちに、農家の少年、ミシェルと出会う。やがて役人がやってきて施設に送られるまでのポーレットの、つかの間の日々が描かれる。それは、十字架を際限なく増やしてゆく、ポーレットにとっては遊びではない、まだはっきりと掴めてはいない「死」の確認だった。どうしても必要なことだったんだ、とルネ・クレマンは、たぶん思っていただろう。最初の幾つかのシーンと、ラストシーンのポーレットは、パリ育ちの5歳の女の子だ。いたいけな、可愛らしいブロンドの少女は、まるでドキュメントの実写かと感ずるほど自然で、涙が止まらない。
しかし、ミシェルと「ふたりの秘密のこと」をするときのポーレットは、見事に女である。そしてミシェルは恋する男である。少年も少女も、自覚はまったくない。しかし監督は男と女を描いている。女が欲しいものを、うっとりと見つめる、そのとき男は、万難を排して女の望みを叶えようとするのだ。女の欲しがる物は、次第に大きな、難しい物になってゆくが、男は、我が身を忘れて突き進む。さすがのフランス映画である。単純な作品ではない。
最近になって観ている人の中には「火垂るの墓」のフランス版だ、と見る向きもあるが、そうではない。
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