文房 夢類
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壺猫

文房 夢類

火山国としょうがない

鹿児島の口之永良部島、新岳が今年5月に噴火した。神奈川の箱根山、大涌谷付近が警戒レベル3に引き上げられた。今日は富士山吉田口のお山開きの7月一日である。日本列島を私は、サラマンダーに重ねている。サラマンダーは、伝承の中にいる小さなトカゲのような生き物で、燃えさかる炎の中や、マグマの中に棲んでいる。火を司る精霊とも言われるが、日本列島の下にコレが棲んでいるのではないかと思ってしまう。
去年の御嶽山、今年に入って浅間山。箱根の地獄谷で真っ黒茹卵を売る人たちは、どうか納まって欲しいと願う日々、しかし相手は「お山」である。
無事安全に生かして欲しいと「お山」にお願いをする心が、折節の行事となり祭りとなっている。こればかりは政治家に文句をつけても動くものではない。そうなると「しょうがない」というところに行き着くか、祈るしかない。「お山」が気の済むまで噴火して鎮まるのを待つしかない。
私は、周囲の誰彼が、二言目には「しょうがない」という一句で議論を締めくくるのを、歯がゆい思いで聞いてきた。意気地なし。覇気がない。能力不足。腹の中に煮えたぎる不満が、それこそマグマのように蓄積されて、いまもある。諦める前に努力しようじゃないか。何とかしよう、と知恵を絞ろうよ。私はイライラと怒りながら思っている。
しかし、御嶽山から大涌谷までの、数珠つなぎに起こる噴火を前に、そうか、日本人の「しょうがない」という発想は根が深いのだなあ、と思い至った。中国では言う、虎より恐ろしい悪政。日本の場合は悪政より恐ろしい噴火なのかもしれない。
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