文房 夢類
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壺猫

文房 夢類

路上の犠牲者

先日のこと、高速道路を走っていて、サービスエリアに入ろうとして「P」のサインから左へ上がり徐行した。その先で普通車と大型車が分かれるあたりでタヌキが轢かれて死んでいた。どうして轢くか、と私は悲しくてたまらない。徐行しなければならない地点、目の前に突然現れても、並のブレーキで防げるはずなのに。この場所で、止まれなかった、は言えない。言い訳にもならない。
もうひとつ。一般道路の車道の真ん中でカラスが轢かれて死んでいるのを見た。このときは歩道を歩いていたので、次の車に轢かれないよう、傍らの街路樹の根元に置いた。上の電線にはたくさんカラスがいて、仲間の事故に大騒ぎをして鳴いていた。たいへんだ、たいへんだ、と言っているように私には聞こえた。カラスが車道で轢かれるのは、車から落ちた食べ物を目当てに降りる故である。車が近づくと飛び立つのだが、間に合わずに轢かれてしまうことが、たまに起きる。間に合わずに、だろうか。目の前に生き物を見たら、すこし速度を緩めれば飛び立てるのだ。ブレーキを踏むまでもないほどの気遣いで済むのに。
タヌキ、カラス、もっとも多く犠牲になるのがネコである。横断中のネコをみかけると、「ひき殺してやれ!」とアクセルを踏む人がいるのだ、と友人から聞いた。背筋が寒くなる。ふざけて「それーっ、轢いてしまうぞ!」と言いながら、実は目の前を横切るネコが渡り切るのを見届ける人は、いくらでもいるものだ。こういう人たちは、ほら、怖かったでしょう? これからは気をつけるのよ、と思っている。でも、本気で生き物にぶつけるなんて。現実に自分の自動車の車輪で、生き物を、ネコをタヌキを、カラスをひき殺して走り去るという神経は、私は恐ろしいと思う。
話が横にそれてしまうが、私が轢かれたカラスを車道から街路樹の根元に運んだ時のことだが、すっかりカラスに誤解されてしまい、ひどい目に遭った。私を加害者と見て取ったカラスたちは、怒りに燃えて私を襲ってきたのだ。違いますって。あたしじゃないって! 説明しても、叫んでも彼らはカンカンである。しかたなく近くのお店に飛び込んだ。常日頃カラスと仲良しの私だが、このときほど困ったことはなかった。
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