文房 夢類
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壺猫

文房 夢類

今日は、言わねばならない

今日、与党は安全保障関連法案を可決した。これは歴代政権が禁じてきた集団的自衛権の行使を解禁する法案だ。前々から安倍首相がこの法案について発言するとき、私は注意深く耳を傾けてきた。彼は、同じ枕詞を使う。それは平和を守るため、国民のため、というもので、そのあとに彼の言いたいことが続く。彼の言いたいことは、総理大臣の私がいうのだから、確かです。かならずこの法案を通します。これで終わり。言いたいことは、彼の欲望とその欲望を手に入れたい、である。これだけでは短いので、間の手と枕に国民のため、平和を守るため、というフレーズを挟む。ほかにはない。空っぽ。審議を尽くしていないという不満は、全く当たらない。審議は皆無であり、欲望を言いつのるのみであった。
国民に意を尽くして説明しようという気持ちをはじめから持っていない。気にしているのはアメリカと、軍需産業でいい目を見ようと待ち構えている経済界の顔色だ。昨日と今日の、安倍という男のシャアシャアとした表情には吐き気がした。
「平和のため」「国民のため」を連呼する者に災いあれ。この衣の下に国民無視の我欲が隠されている。この題目を「軍部」がどれほど好んだかを知っている者が少なくなった。
ペンクラブも反対を表明した。瀬戸内寂聴さんは93歳、病み上がりの身体で反対発言をなさった。誰一人として私の言うことなんか存在さえも知らないだろうが、それでも私も大声で反対する。この採決は独裁だ、民主主義ではない。
選挙権を持つ年齢になった若者たち、ひとりひとりが考え始めて、自分の意志で行動を始めているように感じる。デモで集まる群衆は、組織の団体ではない。個の集結だ。いまだかつてなかったことだ。若者たちに幸いあれ。
どうせダメだからと、黙して眺めるだけの訳知り顔に災いあれ。戦争は、企てた者らは死なない。普通の人々、無名の人々が材料にされて殺される。それと戦争で最も効率のよい攻撃は、一般市民への攻撃だというのが戦争業者の常識なのだ。
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