ものさし鳥
20-10-11 09:09 更新 カテゴリ:文学
ものさし鳥という鳥がいる。3羽いる。スズメ、ハト、カラス。野鳥観察の本に出ていた。はじめて見かけたきれいな小鳥。名前を知りたいな。野鳥を観察する人たちは、実によく名前を知っている。双眼鏡を胸にさげてあるく野鳥博士に、なんて名前ですか? と訊ねると喜んで教えてくださる。そのときに、色、声とともに大事なのが大きさ。その鳥はスズメくらいの大きさでしたか、ハトと同じくらいでしたか、などと訊ねられる。声は聞かなかった、胸が白かったけど、あとはわからなかった、などとあやふやなものだが、この問いには、自信を持って答えられるのが普通の人たちである。ハトです! ここから丁寧な観察がスタートする。
ものさし鳥を知ってから、そういえば私も、自分用のものさし鳥を持って生きてきたわけだ、と思い至った。それはスズメやハトと同じくらいに、ありきたりのもの。たとえば「女」。だれかの価値観を知るときに、女というものさしを当ててみるとわかる部分がある。女のくせに、それでも女か、などと言われると、一発でその人の地金が見えてくる。女性でも、女のくせに、という人は結構いるものだ。この物差しを使って、世間の常識という鋳型のなかに安住している人種と、常識にとらわれない人種を識別してきた。世界中に、さまざまな物差しを持つ人たちがいる。ひそかに懐に忍ばせ、あるいは大きく振りかざして。
ものさし鳥を知ってから、そういえば私も、自分用のものさし鳥を持って生きてきたわけだ、と思い至った。それはスズメやハトと同じくらいに、ありきたりのもの。たとえば「女」。だれかの価値観を知るときに、女というものさしを当ててみるとわかる部分がある。女のくせに、それでも女か、などと言われると、一発でその人の地金が見えてくる。女性でも、女のくせに、という人は結構いるものだ。この物差しを使って、世間の常識という鋳型のなかに安住している人種と、常識にとらわれない人種を識別してきた。世界中に、さまざまな物差しを持つ人たちがいる。ひそかに懐に忍ばせ、あるいは大きく振りかざして。