文房 夢類
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壺猫

文房 夢類

旧市街

久しぶりに東京、町田の旧市街を歩いた。来る度に店が入れ替わり、個人経営の店が消えて企業のチェーン店が増えてゆく。入れ替わりがうまくいっているのだろう、混雑していて、いつ行っても高校生くらいの子が道一杯に歩いている。歩道も車道も区別がない道、真ん中を這うように車が通る。好きな通りだ。
マメと雑穀を売る店でマメを買った。小鳥用のヒマワリの種なども売っている店。近くにウナギの寝床がある。この道路と平行する道をつなぐ横筋の細道のことで、入り口は雑貨屋、なかはラーメン屋、飲み屋、古着屋、佃煮屋、惣菜屋、八百屋、魚屋、豆腐屋もある。魚屋は真っ赤に染めたタラコ、タコを並べている。昭和の味がしそうだ。インドの雑貨小物を売る店、骸骨なんかがついているブレスなどを並べる店もある。昼飯屋もあるが、こうした食べさせる店は、せいぜいがスツール3つ程度のカウンターの店。シモキタの昔と似ている。見慣れない店があった。垂れ布の隙間から、小机を挟んで向き合う女性ふたりがみえた。こちらを向いているのが占い師で、背が見えるのが客らしい。10分千円と看板が立てかけてあった。スパゲティを茹でる時間が、私の場合12分だから、ゆであがる前に終わりだ。私は貧乏性だから、時間が気になって上の空になりそう。町の占いでは学割が効く店は知っているけれど、これは初めてだった。
別建ての話に逸れて恐縮ですが、占い師と客の関係は興味深い。客が問う。それに答える占い師。インタビューも同じ事だけれど、一見、答える側が内蔵する、所有する、我が身の一部を取りだして、相手に渡す形である。私が思うに、それは表面上のことであり、問う者のほうが自身をさらけ出してしまうものなのだ。これは一対一の真剣勝負と言ってよい。3人いたら成り立たない。にらめっこで問答するうちに、問う者はハダカにされている。素肌が見えるし、体重も分かってしまう。なにもかも丸見えになる。しかも真剣に問う者ほど、丸見えになっていることに気付かない。優れた占者が言い当てることができるのは、この腕力、人間力ゆえであって、超能力など関係ないのだ、と最近になって気付いた。
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