文房 夢類
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壺猫

文房 夢類

一億

私は一億と言われるくらいイヤなことはない。聞いただけでゾッとする。お化けに出会うほうがまだマシだ。
私が一億が嫌いなのは、戦時中の生活に繋がるからだ。戦争中は、一億一心、二言目には一億、一億、お前等は一億の日本人のなかのひとり、ひとりなんだぞ、心を一つにしてお国のために我慢せよ、頑張れ、と言われ続けていた、あの暗黒時代を象徴するひとこと、それが「一億」だからである。当時、私は、本当は一億人はいない、でもおおまかにまとめて一億と言っているんだな、と思っていた。今は、人口は一億人を突破しているけれど、キャッチフレーズとして一億と言っているな、と見ている。
女性には「産めよ、増やせよ」とハッパをかけ、幼少の者には「銃後の少国民」と呼びかけて「欲しがりません、勝つまでは」と噛んで含めるように言い聞かせる人間も一億のなかの何人かであったが、それは国民の中の、ほんのひとつまみの者であり、彼らが国を私物化していた。
先日来、安倍晋三が一億揃って、とか、言葉の端々に一億、一億とくつつけて喋っていたが、今度の改造内閣で「一億総活躍担当」という大臣を作った。
あの、忌まわしい戦争の時は、単に声を上げるだけの事だったが、今度は違う。マイナンバーという代物を作り、国民一人一人に貼り付けるのだ。まさに一億鷲づかみ、が出来る。逃すことはない。
束縛が大嫌いな私が、拒否したとしたらどうなるだろう。納税ができない、選挙ができない、パスポートが取れない、ないないづくしで動きが取れなくなるのではないか。いいですよ、選挙に行きません、税金も納めません、国外へは出ない、と頑張ったとしても、たぶん、死ぬこともできないのではないだろうか。埋葬許可が降りないんですよ、などと言われるのではなかろうか。
こんなぼやきに笑っているあいだは、まだ呑気なものだ。そのうち笑えなくなるだろう。産まれた途端にマイクロチップを埋め込むことが法律で義務づけられて、一世紀のちにはチップの埋め込まれていない人間がいなくなる。
こんな時代が目の先まで忍び寄っていると思いませんか?
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