Site logo
Site logo
myExtraContent1
myExtraContent5
Aug 2017

獲物を見せる富士

セミが鳴く。もしも夏に蝉の声がなかったら。味わいのない暑さだけが続く季節だろう。ニイニイゼミが鳴いて、アブラゼミ。そして法師蝉、ヒグラシと夏が動く。近くの三角公園を通り抜けると蝉の声に全身が包まれる。子供らが踏み固めた地面には無数の穴、七年の歳月を地下に生きた者たちの記念空間が見える。
富士と暮らすようになってから、こうした風景としての蝉が、思いもよらぬことに室内に現れるようになった。激しい羽音と鳴き声。蝉の、である。それが二階から降りてきて富士がくわえているアブラゼミを認めることになる。ヤダヤダ、どーしよー、と立ちすくむ。生き生きした目を真円に開いて見上げてくる富士が望んでいるのは、私の賞賛である。大変な我慢をして、えらいっ、と叫ぶ。よくやった、富士っ。獲物を見せに来て、期待通りに評価してもらって、富士は大満足の足取りだ。急に静かになったので、いつもと違うな、と見たら、ガラス戸越しにマルオに見せている。マルオは正座して真面目くさって見つめていたが、その様子には先輩風がありありと見えた。
どうか子孫を残した後に捕まった蝉でありますように、と願うのみだが、私の観察では、ほとんどすべてが交尾を終えた後の動作の鈍い蝉ではある。
0 Comments

帰還

月末の予定が伸びて、印刷所渡しが今日になった。40年ぶりの長雨続きという、梅雨時と間違えそうな空模様の下、解放感に満ち満ちてこれ以上ない明るい気分。
週明けに校正刷ができるという嬉しさ。今日1日は頭の中を空っぽにして針仕事に手を出そう。
0 Comments
myExtraContent7
myExtraContent8