終わりなき危機
22-07-15-22:16-
『終わりなき危機』CRISIS WITHOUT END 監修=ヘレン・カルディコット Helen Caldicott 発行=ブックマン社 2015年3月 128X187 260頁 ISBN9784893088390 日本版翻訳=河村めぐみ
監修=オーストラリア出身医学博士 ハーバード大学医学部教員
内容=2013年3月、ニューヨーク医学アカデミーで、福島の医学的・生態学的影響について2日間のシンポジウムを開催、世界有数の科学者、疫学者、物理学者、医師が集い、福島に関する最新データと研究結果を発表した。そのときの発表を編集したもの。
感想=ヘレン・カルディコットは「はじめに」の頁の最初に書いています。「福島の災害は終わっていないし、今後数千年たっても収束することはない」。続けて「現在、福島は歴史上最悪の産業事故となっている」と書いています。
全20章のなかの第1章に菅直人が当てられています。日本の総理大臣として3・11に対処した責任者として真実を述べようと努力することは当然の義務だと思う。菅直人は「もっとも安全なエネルギー政策は原発をなくすこと」というタイトルで、事故が起こるまでの日本の事故施策は不適切だった、と述べ、原発は安価ではない、と言いきり、次の世紀に存在してはならない技術なのだ、と結んでいます。
各界の専門家の言葉には、ぞっとするほどの重さが込められています。見出しの幾つかを紹介しましょう。
「時計はもとに戻せない。私たちは汚染された世界に生きるしかない」
「日本国民すべての責任は、日本のすべての原子炉を完全に停止することだ」
「原子力発電所では、人類の3000世代先まで残る毒の遺産が作られているのだ」
「大惨事が迫っている、そのことを人々が理解するために、幾万もの子供たちを犠牲にしなければならない」
「歴史から学ばない政府は、それを繰り返すよう運命づけられている」
「政府や監査機関は、放射能が人類にどのような影響をもたらすか、その答えを知りたくないのだ」
「原子力発電は、核兵器と同じくらいの危険を、人類と地球にもたらす」
「被曝した両親の精子と卵子が受精した瞬間から、またしても被害がひろがってゆくのだ」
「40年も前から、いつか事故が起こることは予見されていたのだ。どれほど堅牢なシステムであっても、遅かれ早かれ、愚かさが信頼性を上回る事態が訪れるのだ」
「保管場所を準備するより先に、廃棄物を出すのは本末転倒である」
「放射線に安全なレベルなどない。セシウム134と137は、我々が創り出した自然界にはない物質なのだ」
「原子力災害に始まりはあるが、終わりはない」
「研究にとっていちばん怖いのは批判的な視点を欠くことだ。科学界はこの点を忘れてはならない。権威には疑問をなげかけることだ」
「原子力発電が安上がりだったことはないし、これからも決してそうならない」
第20章でヘレン・カルディコットは「誰もがこれ以上ないほど正しいと信じているのは、もっと金を稼ぐこと。こうして地球を殺している」と言います。
高レベル廃棄物管理と輸送の専門家であるケヴィン・キャンプスは、2010年8月に、日本に招かれて講演をしましたが、「スリーマイル島、チェルノブイリ、次はどこ? 答えはもちろん福島である」と言っていました。
私は最初、図書館で借りて読み、すぐに買いました。繰り返して読む必要がある本。福島を忘れてはいけないどころか、日本全体が汚染されてきた現在、これからこそ、真剣に勉強して真実を知る必要があります。そのための必読書として、お勧めできる内容です。
監修=オーストラリア出身医学博士 ハーバード大学医学部教員
内容=2013年3月、ニューヨーク医学アカデミーで、福島の医学的・生態学的影響について2日間のシンポジウムを開催、世界有数の科学者、疫学者、物理学者、医師が集い、福島に関する最新データと研究結果を発表した。そのときの発表を編集したもの。
感想=ヘレン・カルディコットは「はじめに」の頁の最初に書いています。「福島の災害は終わっていないし、今後数千年たっても収束することはない」。続けて「現在、福島は歴史上最悪の産業事故となっている」と書いています。
全20章のなかの第1章に菅直人が当てられています。日本の総理大臣として3・11に対処した責任者として真実を述べようと努力することは当然の義務だと思う。菅直人は「もっとも安全なエネルギー政策は原発をなくすこと」というタイトルで、事故が起こるまでの日本の事故施策は不適切だった、と述べ、原発は安価ではない、と言いきり、次の世紀に存在してはならない技術なのだ、と結んでいます。
各界の専門家の言葉には、ぞっとするほどの重さが込められています。見出しの幾つかを紹介しましょう。
「時計はもとに戻せない。私たちは汚染された世界に生きるしかない」
「日本国民すべての責任は、日本のすべての原子炉を完全に停止することだ」
「原子力発電所では、人類の3000世代先まで残る毒の遺産が作られているのだ」
「大惨事が迫っている、そのことを人々が理解するために、幾万もの子供たちを犠牲にしなければならない」
「歴史から学ばない政府は、それを繰り返すよう運命づけられている」
「政府や監査機関は、放射能が人類にどのような影響をもたらすか、その答えを知りたくないのだ」
「原子力発電は、核兵器と同じくらいの危険を、人類と地球にもたらす」
「被曝した両親の精子と卵子が受精した瞬間から、またしても被害がひろがってゆくのだ」
「40年も前から、いつか事故が起こることは予見されていたのだ。どれほど堅牢なシステムであっても、遅かれ早かれ、愚かさが信頼性を上回る事態が訪れるのだ」
「保管場所を準備するより先に、廃棄物を出すのは本末転倒である」
「放射線に安全なレベルなどない。セシウム134と137は、我々が創り出した自然界にはない物質なのだ」
「原子力災害に始まりはあるが、終わりはない」
「研究にとっていちばん怖いのは批判的な視点を欠くことだ。科学界はこの点を忘れてはならない。権威には疑問をなげかけることだ」
「原子力発電が安上がりだったことはないし、これからも決してそうならない」
第20章でヘレン・カルディコットは「誰もがこれ以上ないほど正しいと信じているのは、もっと金を稼ぐこと。こうして地球を殺している」と言います。
高レベル廃棄物管理と輸送の専門家であるケヴィン・キャンプスは、2010年8月に、日本に招かれて講演をしましたが、「スリーマイル島、チェルノブイリ、次はどこ? 答えはもちろん福島である」と言っていました。
私は最初、図書館で借りて読み、すぐに買いました。繰り返して読む必要がある本。福島を忘れてはいけないどころか、日本全体が汚染されてきた現在、これからこそ、真剣に勉強して真実を知る必要があります。そのための必読書として、お勧めできる内容です。