文房 夢類
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文房 夢類

犬たちを救え!

犬たちを救え!』副題=アフガニスタン救出物語(ONE DOG AT A TIME)著者=Pen Farthing ペン・ファージング 訳=北村京子 発行=作品社 2014年 374頁 20cm ISBN9784861824777
著者=18歳で英国海兵隊に入隊。20年以上イラク、アフガニスタンで任務についた。本書に書かれていることがきっかけで、ボランティア団体「ナウザード・ドッグズ」を設立。アフガニスタンの動物を救う活動をしている。同団体と犬たちは、ここに書ききれない数々の栄誉に輝いている。
内容=イギリス海兵隊の若者は、恋人と歩む明るい未来を漠然と描いていた。アフガニスタンに行ったのは、命令によって武装した兵士として行かされたのだ。250人のイギリス兵を殺してきたタリバンの弾丸がとぶ荒地に彼が見つけたのは、針金にとらわれて動けない1匹の犬だった。救い出す彼。やがてアフガニスタンの自然、人々が目に飛び込んでくる。蹂躙されつくした土地、アフガニスタンは、いまや戦闘が始まると鳥たちも逃げ去ってしまう、ヒトが作り出した地獄である。
やがて「わたし」は、この土地の風習、闘犬の現場を目撃する。大型犬は、耳と尾を切り取られ、血だらけのまま同族の犬と対決させられる。耳と尾は、相手に噛みつかれるのを避けるために切られたのだ。この虐待に、我を忘れて飛び込み静止しようとする「わたし」。この闘犬との出会いが、「わたし」の人生のY字路になった。犬たちの救出、土地を去るときの別れ。そして今は、犬たちを救うためのボランティア団体を設立して、生涯をかけて活動している。
感想=すぐれたノンフィクション。この本は、犬だけではない、アフガニスタンを知るための絶好の書でもある。これほど埃で苦しめられる土地であったのか、と驚いた。もしかすると、この濃密で執拗な土埃が、女性たちを覆う布の原点だったかもしれない、女を守るための。
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