文房 夢類
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文房 夢類

福島原発の闇

福島原発の闇』ー 原発下請け労働者の現実 ー 堀江邦夫 文 水木しげる 絵 朝日出版社 2011.8発行 ISBN 978-4-023309807 ¥1000 210mmX150mm 94頁 堀江邦夫 1948年東京生まれ 記録作家 同人誌「沖縄を記録する」主幹 水木しげる  1922年鳥取県育ち 代表作『ゲゲゲの鬼太郎』『悪魔くん』など多数
内容は、堀江氏が、身分を隠して原発のプラントで働いていた1年間を、水木しげるがイラストを描き、まとめたもの。下請け労働者の普段の姿である。
本書は、2011年発行だが、実際に書かれた時期は1978年で、当時は売れなかったというよりも、発行も困難なほど原発に批判的な表現は潰されていた。
著者は、福島第一原発の管理区域内で、3ヶ月の重傷を負う。二号機のタービン建屋内だった。しかし、重症であろうと体に放射性物質がついているかぎりは、絶対に外に出してもらえない。元請け会社の所長は言った、労災の申請は勘弁して欲しい。理由は東電の無事故発表に傷がつくから。
イラストを依頼された水木は、原発を取り巻く状況を把握して、こう言ったという、まるで戦場のようですな。
ジャーナリストに、こんな勇敢、果敢な人がいた。本書の内容には息が止まる思い。イラストには、命を蹂躙される悲しみ、あの戦場の怒りの記憶が、いいしれぬ迫力となって噴出する。水木には、『娘に語る お父さんの戦記』など、おばけ話のほかに多数の著作がある。
あとがきにかえて、として著者が書いている部分を要約する。原発推進は国策である、との錦の御旗のもと、原発賛美の広告が華々しく新聞雑誌の頁を飾るなか、原発=電力会社にとって都合の良い記事だけが続々と掲載されるようになり、一方、原発の危険性や問題点を扱った記事については、大手メディアでは、タブー扱い、急速に姿を消して行った。私自身、原発を取材して記事を書いたものの、掲載してくれる媒体がなかなか見つからず、女性ヌードグラビア誌やなどで細々と発表していたのが実情です。今回の原発事故をきっかけに、私は原発について不勉強であった事を、きわめて強く後悔、反省したが、故意に隠蔽され、一般に報せまいとしていた事もわかってきた。大東亜戦争時代の帝国陸軍を、今の政府、東電らは、どう感じているのだろう。同じではないか。

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