文房 夢類
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文房 夢類

しあわせ節電

しあわせ節電』著者=鈴木孝夫(すずきたかお) 発行=文藝春秋2011年 サイズ=194mm 128頁 ISBN9784163743202 ¥1143
著者=1926年 東京生まれ 現在慶應義塾大学名誉教授 専門=言語社会学 日本野鳥の会顧問
内容=節電・節約を呼びかける理由とどのようにすると良いか、その方法を著者の日常節約生活を語ることで伝えている。
感想=著者の節電・節約は、いまに始まったことではない。親の代から、当然の態度として家庭に在り、孫に受け継がれている。無駄にしない、充分使うが余分な浪費はしない。まだ使える物を、古くさくなったから、と買い換えることをしない。鳥が大好きな著者は、自然を、この地球を、非常に大切にしている。地球規模で、いまの暮らしぶりをみたとき、いかに暗い将来であるか、ということを、さまざまな言い方で訴えている。地球のために、日本のために、すべての生きるもののために。夜空から見下ろす日本列島は、輪郭を浮き立たせて輝いている。これは犯罪的な電力消費ではないか。現実生活の、ちょっと贅沢すぎる部分を考え直してみよう、そんな気持ちに、本気でなると思うのだ、この本を読むと。
終章で、日本人こそ、この時期だからこそ、節約をし、節電を心がけて、世界文明の変革の旗手になれる、と語っているのだが、ここに、面白い一節があるので紹介します。
「人間の面白いというか恐ろしいところは、肉食と草食の中間にいることです。……本当に肉食ならもっと牙がなくてはいけないし、完全に草食ならば牛のように反芻をしないといけない。中途半端な肉食動物であるために、“殺しの本能”は持っているが、本当の肉食動物ならば同時に持っていなければいけない”殺さない本能”が未発達なため、歴史的には互いに殺し合い、他の生物に対してはいま人間は止めどのない生態学的破壊者の道をつき進んでいるわけです」

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