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時計の科学

時計の科学』副題=人と時間の5000年の科学 著者=織田一朗(おだ いちろう)発行=講談社 2017BLUE BACKS 234 索引 参考資料 ¥980 ISBN9784065020418
著者=1947年石川県金沢市生まれ。慶應義塾大学法学部卒 服部時計店(SEIKO)入社。1997年独立。時の研究家。
著書=『
時計の針はなぜ右回りなのか』『時と時計の百科事典』『世界最速の男を捕らえろ! 進化する「スポーツ計時」の驚くべき世界』など多数。
内容=人間が時間の存在に気づいた5000年昔から今日までの時計の歩みが詰まっている本。
文字盤の表面だけでも、問われてみると「あれ?」と思う謎がたくさんある。たとえば、なぜ10進法にしなかったのか? なぜなぜ12から始まり、0からではないのか? なぜ右回りなのか?
そうか、インドでゼロが発見される以前に時を知り、時計を作っていたのか、と読み進むうちに面白さに時を忘れる。

本当の花時計とは? も初めて知った。花の開花時間によって配列したというから、これはすごい。パンジーで数字を描いて植えているのは、まやかしなのだと知った。
私の家の洗面所は、とても狭いのに鏡が壁一面の大判、背後の壁に左回りの壁時計を買ってきて取り付けた。こうすると右回りの普通の時計が鏡に映るから、歯を磨きながら時間がわかる。洗面所は朝の時間帯に混雑し、しかも皆、時間を気にするからとても便利に使っていた。ところが最近のことだが洗面所という場所が災いして湿気のために故障してしまった。代わりを買いに行ったのだが、どう説明しても店員がわかってくれない。左回りの時計? ないです。と言い切ってヘンな目つきで人を見るので諦めた。著者は、この時計には「床屋時計」という名前があり、理容店で客のために背後に掛けていたものだと書いている。そして今はないが、と付け加えているので、湿気のためにダメにしてしまったことを悔やんだ。

しかし、核心の部分は時計の構造と、時々刻々の進歩にある。
法学部を卒業して時計の会社に入社、その後の人生を「時」と一身一体となって時計に愛情を傾けている著者の熱は、ものすごい。

腕時計の構造、進歩の足取りが詳細に語られるが、難しい内容にもかかわらず、素人の頭に素直に入ってくるのが嬉しい。腕時計の細かい部品に「アブミ」「コハゼ」などの名が付けられているのも興味深い。
「あとがき」が愉快だ。あとがきでは謝意を表し、執筆に至るきっかけや足取りなどを述べる著者が多いが、織田一朗さんは、違う。
時計の話が、まだある、もっと伝えたいんだけど、という調子だ。時計は大会社が作るのが全盛だけど、たった一人で全ての部品を作って完成させる「独立時計師」がいるんですよ、どこのメーカーにも属さずにですよ、世界に一つだけのデザイン、技術の高さよりも技能の高さ、独創性が評価されます。有名時計師の作品はびっくりするような価格でも、買い手がつくのですと話が尽きないのである。お礼を言っているのは、最後の2行だけ。

最初、図書館で借りて読んだが、これは手元に置きたい本だ、と直感して買った。
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