文房 夢類
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文房 夢類

サンゴ知られざる世界

サンゴ知られざる世界』著者=山城秀之(やましろ・ひでゆき)発行=成山堂書店2016年サイズ=210X140mm180頁¥2376ISBN9784425830718
著者=1980年琉球大学理学部生物学科卒 現在琉球大学熱帯生物圏研究センター瀬底研究施設教授博士
内容=ついこの間まで私は盆栽のような形のサンゴを植物だと思い込んでいた。サンゴは知れば知るほど驚きの姿を現わす不思議の生き物だ。
本書は1,サンゴの基礎知識2,サンゴの種類3,サンゴと多彩な生き物たち4,サンゴ礁と地球環境の4部構成となっている。
ページの小口が緑青橙紫の4色にしてあるので、パラパラとページを繰り、好きなところを開くことができる。横書きで、タイトルと小見出しも色分けされていて見やすい。ふんだんに盛り込まれているカラー写真が楽しさと親しみを伝え、数は少ないが図が優れている。分かりやすい、はっきりとした図に、レベルの高い解説がついている。素人の読者だ、少年少女かもしれない。だからレベルを(一般向け)に引き下げて優しくしてやろう、というような手加減は一切ない。著者の研究成果の全てを投入、詳しい解説をしている。こうした部分を読むと、勝手に相手の力量を推測してレベルを下げてあげましょう、という態度が、如何に的外れの親切かということがわかる。よくよく分かっている専門家が語り渡してくれる言葉は、むしろ単純、簡潔で理解しやすいものだ。お楽しみはコラムだ。目次にコラムのタイトルも並べてあるからコラム目当てに開くこともできる。例えばこんなコラムがある。「光に向かって歩くサンゴ」「童謡・歌とサンゴ」「サンゴ礁の音色 波と天ぷら」「緑色に光る蛍光サンゴ」。こんなタイトルを見たら、読まないではいられない。読み出したらやめられない。多少は知っていると思っていたサンゴは、ごく一部だった。サンゴの万華鏡のような多種多様な姿に感動した。最後の章にある「人とサンゴと地球環境」では、最近の密漁も取り上げられ、白化現象など深刻な問題について解説があり、重く心に響いた。人間活動による海洋汚染の劣化は、人類全体が本気で考えなければ先がないと感じる。索引つき。

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