草は歌っている
15-03-14-22:50-
『草は歌っている』THE GRASS IS SINGING DORIS LESSING ドリス・レッシング 山崎努・酒井格 訳 発行=晶文社 1970年 ¥210019cm228ISBN9784794967206
内容=アフリカに住む白人夫婦。その妻が使用人であるアフリカの男に撲殺された。この女性メアリの生い立ちから殺される瞬間までを描く。
感想=メアリを殺した男は絞首刑になることを承知で殺した。救いのない物語だ。作者、レッシングは登場人物の誰にも情をかけない。肩入れをしない。この厳しく乾いた視線は、彼女の作品全部に共通している。ネコのエッセイを書いたときも、同じ態度でネコたちを見つめた。それは、無情、非情かというと正反対だ。救いのない暗い描写が、読みにくい文体で長々と続く。これに耐えて読み進み読了したとき、アフリカの人たち、アフリカの大地、白人と呼ばれる文明の開けた土地から入ってきた人たち、すべてへの愛が、この作品全体を覆っていることを知る。文明が進んでいるから上位に立つのが当然だ、と考える白人たちの鈍感さと無知に対する哀れみが読者の胸に芽生えるのだ。
内容=アフリカに住む白人夫婦。その妻が使用人であるアフリカの男に撲殺された。この女性メアリの生い立ちから殺される瞬間までを描く。
感想=メアリを殺した男は絞首刑になることを承知で殺した。救いのない物語だ。作者、レッシングは登場人物の誰にも情をかけない。肩入れをしない。この厳しく乾いた視線は、彼女の作品全部に共通している。ネコのエッセイを書いたときも、同じ態度でネコたちを見つめた。それは、無情、非情かというと正反対だ。救いのない暗い描写が、読みにくい文体で長々と続く。これに耐えて読み進み読了したとき、アフリカの人たち、アフリカの大地、白人と呼ばれる文明の開けた土地から入ってきた人たち、すべてへの愛が、この作品全体を覆っていることを知る。文明が進んでいるから上位に立つのが当然だ、と考える白人たちの鈍感さと無知に対する哀れみが読者の胸に芽生えるのだ。