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無限の住人

無限の住人』全30巻 沙村広明 (さむら ひろあき)講談社 アフタヌーンKC ISBN978-4-063140903 ¥540 1994年からアフタヌーン連載 コミック
内容=「勝つことが剣の道」という逸刀流統主・天津に両親を殺された少女・凜は、仇討ちのため、身に血仙蟲を埋め込んだ不死身の男・卍を助っ人にする。異形・残虐・悲運……様々な殺人者たちが交錯し葬られる、凄惨な剣戟活劇。「ネオ時代劇」と評される。第1回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞受賞作品。 
著者=1970年千葉県生まれ。漫画家。多摩美術大学油絵科卒業。ジャンル=青年漫画
感想=少女、凜が親の仇討ちの旅をする、その手助けをする男、卍。数多の殺人者が行く手に錯綜する物語は、いくつかの興味深い特徴を持つ。ひとつ、鉛筆画が美しく、巧い。ふたつめ、主人公、凜は、時折立ち止まり、考える。自分の行く道を考え直したり、進んだりするのだ。こういう、思案する主人公は、当たり前にたくさんいるようで、実は珍しい。物語の主人公のほとんどは、新たに現れる事態に対処するのが精一杯なものだ。目の前に現れた障害物を乗り越える、これが主人公の「定め」なのだが、凜は、どうしようかなあ、これでいいんだろうか。などと膝を抱えて考え込むのだ。
三つ目は、残酷性。とにかく、切った、張った、じゃなくて、切り切りの連続。しかも切られても、死なないのである。百人斬りの万次は、体内に宿る血仙虫の力で、手足を斬られて吹っ飛んでも死なないどころか、くっついてしまう。ただ、猛烈痛みはある。
私は、自分が怪我をして痛くてかなわないときに愛読していた。自分の痛みが遠のいたら、あまり読まなくなったのは、不思議+当然の現象。
四つ目のポイント。それは現代性と言える寿命について感じさせてくれるなにかがある点だ。若い人が青年向けに描いているコミックだが、高齢の私も惹かれる部分、それは寿命に対する感覚の現実性だろう。一昔前は、高齢者の長寿を祈ることが、祝いの言葉であり、誠意や愛情の印でもあったのだ。しかし、今現代、どうだろう? 長寿を願うか? はっきり否である。今は、死ねない時代なのだ。片麻痺だの、認知だので、だらだら、だらだら、死にたくても死ねない身体をもてあます時代である。病院は、検査結果を錦の御旗に、有無を言わせず斬る、切る切る。医者は、卍どころではない、電動ドリル、のこぎり、ハンマー、大工以上に持っていて、ためらわずに患者を切り刻むのだ。そして死なせはしない……。針と糸、それにホッチキスも使ってくっつけてしまう。卍は、どんなに痛くても死ねない。頭と胴体を切り離されると死ぬのだが。肉体の苦痛は味わえるが死ぬことが出来ない。そっくりではないか。これこそ、現代の先端恐怖であり、本書の見所である。
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