放射能測定マップ
21-02-19-08:01-
『図説・17都県放射能測定マップ+読み解き集』副題=2011年のあの時・いま・未来を知る 著者=みんなのデータサイトマップ集編集チーム/企画・編集 発行=みんなのデータサイト2018年 サイズ=A4版 200頁 ¥2315 ISBN9784991042706
著者=東日本大震災による福島原発事故後、日本各地で立ち上がった「市民放射能測定室」のネットワーク「みんなのデータサイト」
内容=2011年3月11日の東日本大震災に伴って起きた「東京電力福島第一原発事故」による放射能汚染の様相を、一般市民が集まり、市民放射能測定室を立ち上げて測定を続けてきた。この測定結果に基づき、可能な限り事実に忠実にまとめたもの。
測定結果だけではなく、放射能の放出に伴い発生した問題も網羅。これらを都県ごと・テーマごとに、各測定室が中心になって執筆、これらを編集チームが編集したもの。大きく3つの章に分かれていて、
第1章は土壌。青森県・岩手県・宮城県・秋田県・山形県・福島県・茨城県・栃木県・群馬県・埼玉県・千葉県・東京都・神奈川県・新潟県・山梨県・長野県・静岡県 以上17都県を取り上げている。
それぞれ2011年当時の基本データ(面積・人口・人口密度・当時18歳以下の子供の数と%)・地形の特色・土地の傾向・特産物・事故当時の気象データが出ている。
地図にプルームの流れが矢印で示され、色分けした○印でBq/kgが示される。
続いて、空間線量率の変化、放射性降下物に関する解説とグラフ、放射性ヨウ素による水道水汚染、放射性セシウムによる土壌汚染、野生動物、山菜、野生キノコなどの汚染状況などが詳細に示される。
コラムの形で放射線の基本知識などが置かれている。
第2章は食品。ここではまず、3つのことを学ぶ。事故以前の放射能汚染について。事故以前の食品・土壌への汚染の影響について。事故後の食品へのセシウムの移行と、気になる食品について。
その上で、牛乳・米・川魚・海水魚・野生鳥獣肉・野生キノコ・山菜・出荷制限マップが並ぶ。
ところどころに「深堀り測定室eyes」と名付けた頁が用意されて、少し時間をかけて読み熟し理解を深めることができるようになっている。
第3章は「放射能を知ろう」と題しての総括。
個々のケース、チェルノブイリとの比較検討・両者の汚染区分・避難・移住の権利の比較、あるいは森の放射線汚染・薪や木炭による被曝の危険性について、年間被曝限度やがんについて、深刻化する避難者の状況についてなどが詰まっている。
感想=本書の発行を知って、読みたいと思っていたが、注文が殺到して増刷を待たなければならなかった。自費出版で、これだけ広まっているのは希有のことだが、それだけ関心を寄せる人たちが大勢いて、率直な事実を知りたがっているということの表れだろうと思う。
実は事故直後から、神奈川県、多摩川に近い地域にある私の家の庭で雨水に異変が見られた。雨樋の下に農業用の大型容器を置き、水やり用に使ってきた、この雨水の深さ、約65センチの半分以上が黒く重い異物で埋まったのだ。
これは豆腐を崩したような感触のもので、豆腐程度の重さがあるのだろう、沈むのだが揺れている。これを植木の水として使うことをためらい、雨水用の排水口へ捨ててきた。今までに見たこともない黒い雲だ。3月のあの日以来、夏が過ぎても冬が来ても、この現象は変わらなかった。
そして2011年が2017年になるまで、わずかずつ減りながら続いてきた。水の中の黒く重い雲。やがて次第に減って行き、2017年夏の台風の時は、大雨が来て初めて透明な雨水が溜まったのだった。が、台風が去るとまた、黒く重い雲は水底にたまり始めた。
そして去年の2018年の夏、何年ぶりだろう、ゴミと埃だけがある雨水がたまるようになってきたのだった。この黒雲は庭の植木の間、草花の間にも降り注いでいたわけだから、私はひまわりを植えて秋に抜き取りゴミに出した。が、ひまわりが吸収してくれただろう汚染物質は、焼却されたとしても消えはしない、灰の中に残るのだということを知っているので暗澹としていた。
毎年、鳥が運んでくる木の実が芽を出す。その中の松の芽を抜かずに育てた。3年過ぎた時、歪む幼苗の姿を妙に感じ、撮影場所を記入した画像を環境庁へ送った。アクセスする窓口を知らない者がしたことだから、お門違いだったのだろう、反応はなかった。
このような思いつきのやり方では当然の結果だろうが、単独行為に無力感を覚えた。普通に暮らしている普通の人々が力をあわせることの大切さが、この本を開くと溢れ出てくる。
こんなわけもあり、気にしている土壌について真っ先に読んだ。1リットル以上の土を採取、乾燥させて正確に1リットルにして測定する。この作業を2014年10月~2017年9月の期間、のべ4000人の市民が、3400か所以上の場所で成し遂げている。
守りたいものは、子どもたちと、私たち自身だ。会社を守りたいのではない、国を守りたいのでもない、自分たちが手にして当たり前の、空気と水を取り返したい。
著者=東日本大震災による福島原発事故後、日本各地で立ち上がった「市民放射能測定室」のネットワーク「みんなのデータサイト」
内容=2011年3月11日の東日本大震災に伴って起きた「東京電力福島第一原発事故」による放射能汚染の様相を、一般市民が集まり、市民放射能測定室を立ち上げて測定を続けてきた。この測定結果に基づき、可能な限り事実に忠実にまとめたもの。
測定結果だけではなく、放射能の放出に伴い発生した問題も網羅。これらを都県ごと・テーマごとに、各測定室が中心になって執筆、これらを編集チームが編集したもの。大きく3つの章に分かれていて、
第1章は土壌。青森県・岩手県・宮城県・秋田県・山形県・福島県・茨城県・栃木県・群馬県・埼玉県・千葉県・東京都・神奈川県・新潟県・山梨県・長野県・静岡県 以上17都県を取り上げている。
それぞれ2011年当時の基本データ(面積・人口・人口密度・当時18歳以下の子供の数と%)・地形の特色・土地の傾向・特産物・事故当時の気象データが出ている。
地図にプルームの流れが矢印で示され、色分けした○印でBq/kgが示される。
続いて、空間線量率の変化、放射性降下物に関する解説とグラフ、放射性ヨウ素による水道水汚染、放射性セシウムによる土壌汚染、野生動物、山菜、野生キノコなどの汚染状況などが詳細に示される。
コラムの形で放射線の基本知識などが置かれている。
第2章は食品。ここではまず、3つのことを学ぶ。事故以前の放射能汚染について。事故以前の食品・土壌への汚染の影響について。事故後の食品へのセシウムの移行と、気になる食品について。
その上で、牛乳・米・川魚・海水魚・野生鳥獣肉・野生キノコ・山菜・出荷制限マップが並ぶ。
ところどころに「深堀り測定室eyes」と名付けた頁が用意されて、少し時間をかけて読み熟し理解を深めることができるようになっている。
第3章は「放射能を知ろう」と題しての総括。
個々のケース、チェルノブイリとの比較検討・両者の汚染区分・避難・移住の権利の比較、あるいは森の放射線汚染・薪や木炭による被曝の危険性について、年間被曝限度やがんについて、深刻化する避難者の状況についてなどが詰まっている。
感想=本書の発行を知って、読みたいと思っていたが、注文が殺到して増刷を待たなければならなかった。自費出版で、これだけ広まっているのは希有のことだが、それだけ関心を寄せる人たちが大勢いて、率直な事実を知りたがっているということの表れだろうと思う。
実は事故直後から、神奈川県、多摩川に近い地域にある私の家の庭で雨水に異変が見られた。雨樋の下に農業用の大型容器を置き、水やり用に使ってきた、この雨水の深さ、約65センチの半分以上が黒く重い異物で埋まったのだ。
これは豆腐を崩したような感触のもので、豆腐程度の重さがあるのだろう、沈むのだが揺れている。これを植木の水として使うことをためらい、雨水用の排水口へ捨ててきた。今までに見たこともない黒い雲だ。3月のあの日以来、夏が過ぎても冬が来ても、この現象は変わらなかった。
そして2011年が2017年になるまで、わずかずつ減りながら続いてきた。水の中の黒く重い雲。やがて次第に減って行き、2017年夏の台風の時は、大雨が来て初めて透明な雨水が溜まったのだった。が、台風が去るとまた、黒く重い雲は水底にたまり始めた。
そして去年の2018年の夏、何年ぶりだろう、ゴミと埃だけがある雨水がたまるようになってきたのだった。この黒雲は庭の植木の間、草花の間にも降り注いでいたわけだから、私はひまわりを植えて秋に抜き取りゴミに出した。が、ひまわりが吸収してくれただろう汚染物質は、焼却されたとしても消えはしない、灰の中に残るのだということを知っているので暗澹としていた。
毎年、鳥が運んでくる木の実が芽を出す。その中の松の芽を抜かずに育てた。3年過ぎた時、歪む幼苗の姿を妙に感じ、撮影場所を記入した画像を環境庁へ送った。アクセスする窓口を知らない者がしたことだから、お門違いだったのだろう、反応はなかった。
このような思いつきのやり方では当然の結果だろうが、単独行為に無力感を覚えた。普通に暮らしている普通の人々が力をあわせることの大切さが、この本を開くと溢れ出てくる。
こんなわけもあり、気にしている土壌について真っ先に読んだ。1リットル以上の土を採取、乾燥させて正確に1リットルにして測定する。この作業を2014年10月~2017年9月の期間、のべ4000人の市民が、3400か所以上の場所で成し遂げている。
守りたいものは、子どもたちと、私たち自身だ。会社を守りたいのではない、国を守りたいのでもない、自分たちが手にして当たり前の、空気と水を取り返したい。