火山と地震の国に暮らす
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『火山と地震の国に暮らす』鎌田浩毅(かまた ひろき) 著 岩波書店 2011年7月7日発行 ISBN978-4-00-005210-8C0044 ¥1900E サイズ128cmX187cm 索引つき 188ページ
著者は1955年東京都生まれ。東京大学地学科卒業、現在京都大学大学院 人間・環境学研究科教授 理学博士 HP :http://www.gaia.h.kyoto-u.ac.jp/~kamata/
帯に、地球学者の熱い思いを込めたエッセイとある。私は、はじめから終わりまで熟読した。火山学の専門家が一般の生活者に向けて高度な部分をも含ませながら、受け入れ易いかたちで火山について知らせてくれる。目次は、科学を減災に活かす。火山と地震の国に暮らす。科学の方法。「伝える」から「伝わる」へ。市民のための科学。の5本。
内容は、日本の火山の歴史と研究者たちの働き、今回の地震、そして展望と続く。今回の地震は気象庁によって「東北地方太平洋沖地震」と命名された。「東日本大震災」という呼び方は、人が被害に遭う「震災」に対して政府が名付けた名であり、自然現象としての「地震」には、地震情報を管理する気象庁が、このように名付けている。このことを私は、知りませんでした。
地震学者たちは、次の巨大地震は2030年代には起きると予測、著者も2040年までには、確実に起きると考えている。しかし、月日まではわからないという。ここまで分かる、これは分からぬ、とはっきり書いてくれる学者の明快さが快い。本書で著者がくりかえし述懐していることは、学者が研究に没頭する一方、いかにその稔りの果実を普通の人たちと分かち合うか。伝える努力をすることもまた、学者の大きな勤めだろうということだ。こうした果実を手にしたのが北海道有珠山の噴火で、一人の犠牲者も出さなかった。
有珠山噴火の際の住民の動きを知った富士山麓、河口湖周辺では、これを機会に、住民にハザードマップを公開して避難の手だても考えることとなったのだ。このことは、本書の内容にはない余分なことだが、それまでの河口湖では、下手に富士山噴火を話題にすると観光にさしさわる。寝た子を起こさないで欲しい、と主張して伏せて来た経過がある。
学者の研究が有珠山を救い、さらに波紋はひろがって河口湖を改心させるに及んだのを、私は目の当たりに見て感動した。
コラムが2つある。1つ目が中村一明教授について。中村一明著『火山とプレートテクトニクス』(東京大学出版会)の紹介。2つ目が加藤周一について。ここでも『羊の歌』『続 羊の歌』を紹介している。
著者は1955年東京都生まれ。東京大学地学科卒業、現在京都大学大学院 人間・環境学研究科教授 理学博士 HP :http://www.gaia.h.kyoto-u.ac.jp/~kamata/
帯に、地球学者の熱い思いを込めたエッセイとある。私は、はじめから終わりまで熟読した。火山学の専門家が一般の生活者に向けて高度な部分をも含ませながら、受け入れ易いかたちで火山について知らせてくれる。目次は、科学を減災に活かす。火山と地震の国に暮らす。科学の方法。「伝える」から「伝わる」へ。市民のための科学。の5本。
内容は、日本の火山の歴史と研究者たちの働き、今回の地震、そして展望と続く。今回の地震は気象庁によって「東北地方太平洋沖地震」と命名された。「東日本大震災」という呼び方は、人が被害に遭う「震災」に対して政府が名付けた名であり、自然現象としての「地震」には、地震情報を管理する気象庁が、このように名付けている。このことを私は、知りませんでした。
地震学者たちは、次の巨大地震は2030年代には起きると予測、著者も2040年までには、確実に起きると考えている。しかし、月日まではわからないという。ここまで分かる、これは分からぬ、とはっきり書いてくれる学者の明快さが快い。本書で著者がくりかえし述懐していることは、学者が研究に没頭する一方、いかにその稔りの果実を普通の人たちと分かち合うか。伝える努力をすることもまた、学者の大きな勤めだろうということだ。こうした果実を手にしたのが北海道有珠山の噴火で、一人の犠牲者も出さなかった。
有珠山噴火の際の住民の動きを知った富士山麓、河口湖周辺では、これを機会に、住民にハザードマップを公開して避難の手だても考えることとなったのだ。このことは、本書の内容にはない余分なことだが、それまでの河口湖では、下手に富士山噴火を話題にすると観光にさしさわる。寝た子を起こさないで欲しい、と主張して伏せて来た経過がある。
学者の研究が有珠山を救い、さらに波紋はひろがって河口湖を改心させるに及んだのを、私は目の当たりに見て感動した。
コラムが2つある。1つ目が中村一明教授について。中村一明著『火山とプレートテクトニクス』(東京大学出版会)の紹介。2つ目が加藤周一について。ここでも『羊の歌』『続 羊の歌』を紹介している。