文房 夢類
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文房 夢類

陸軍登戸研究所と謀略戦

陸軍登戸研究所と謀略戦』副題=科学者たちの戦争 渡辺賢二(わたなべ けんじ)著 吉川弘文館2012年発行ISBN978-4-642-05737-0 ¥1700 208頁 187mmX128mm
渡辺賢二=1943年秋田生まれ 法政大学第二高校教諭を経て現在明治大学文学部非常勤講師
内容=第二次世界大戦時に、登戸研究所が行っていた研究の実態。墓場まで持ってゆく、と口を閉ざしていた陸軍登戸研究所関係者が、著者と高校生たち、そして地元川崎市民たちとの四半世紀にわたる交流の年月の間に、次世代へ向けて記録を残そうと気持ちが進んでいった。その結果、明らかにされた謀略戦、秘密戦の実態が、ここに記される。風船爆弾、偽造紙幣、秘密インキなどの研究が行われた当時の、科学者と戦争の関係を描いている。
感想=ついに、土地の普通の人たちの力が実を結んだ。登戸研究所は、自然の時の流れに埋もれると同時に、埋もれてしまえ、忘れてしまえ、という方向へと落ちていた、と思う。しかし今は、研究所の跡地である明治大学生田キャンパス内に、資料館を開館するまでになった。本書の前身というべき本を私は所有しているが、こんど、吉川弘文館の「歴史文化ライブラリー 337」として発行されたことで、晴れて世に出た、という感慨がある。陸軍がしたことについては、戦争であるとはいえ、おぞましくて読むのもためらわれる内容だ。
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