文房 夢類
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文房 夢類

メルトダウン

メルトダウン』副題=ドキュメント福島第一原発事故 大鹿靖明(おおしか やすあき)著 講談社2012年1月発行 ISBN978-4-06-217497-8 ¥1600 128mmX187mm 368頁 参考文献・情報源詳細有
著者=1965年東京生 早稲田大学卒 朝日新聞社経済部記者 現在アエラ編集部に出向 ライブドア、JAL に関する著書あり
内容=1)3.11の瞬間から約1月の様相 2)その間の政財界と東電の動き 3)菅内閣総辞職までの9ヶ月間 の3章構成。
いままでに読んだものは、原発プラント現場の様相と核に関する情報が主なものだった。本書の眼目は、この大災害と大事故をめぐる関係組織の人々の動きにある。100人以上の主要人物に直接会い、取材している。無視した人、立ち話の人、資料を出して丁寧に説明した人などさまざまだったという。経済部記者だった故に、経産官僚、東電社長、会長など主要人物についても非常に詳しい。
帯の惹句に「官邸、経産省、東京電力、金融界の間で繰り広げられた壮絶かつ不毛なバトルを描いた調査報道ノンフィクション」とある。
感想=第一の感想は、ここまで一般市民をないがしろにする心を持っていたのか、というため息だった。私が肝をつぶし、一から原発について学んでいる4月5月に、彼らがすでに原発を推進すべく動き出していたとは知らなかった。国民は、守られ、救済される存在ではなく、国債という面で懐を当てにされている存在だった。TVなどでは報道されなかった姿として、東電清水社長が、次第に廊下をふらつきながら歩き、独り言をつぶやくようになり、そして入院したありさま、表に出たくない勝俣会長が記者会見に引っ張り出されて、挙げ句の果てに辞任となった無念さなどは、近くで眺めている者でないとわからない姿だ。
ただ、著者は生粋の記者故に、ペンにその性癖が染みついている。故に読者に負担をかけずに浸透させるような筆力を駆使している。これは良い面と同時に足をすくわれる部分を持っていて、注意して読まないと著者の価値観と感情を共有させられることになる。また、頻繁に出てくる「ご注進」「寵臣」などという形容が、日本の大組織の素肌を見せてくれる。
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