Site logo
Site logo
myExtraContent1
myExtraContent5

Site logo

太郎さんのカラス

太郎さんのカラス』岡本敏子著 アートン社 2004年発行 ISBN4-90100606507 ¥1200 128mmX187mm 128頁
著者=1926年生まれ。岡本太郎の秘書、のちに太郎の養女となった。が実は妻であり、太郎が1996年に急逝後は、岡本太郎記念館館長となった。2005年79歳、浴室で急逝。
内容=太郎さんとカラス。モノクロの写真がふんだんに織り込まれている。ここにいる太郎さんは、普段着の表情で自宅の庭でカラスとつきあう笑顔、敏子さんが選んだ、とっておきの瞬間である。ちょっと書き留めたくなるような言葉が、1頁に2,3行だけあったりする。
たとえば、「今の自分なんか蹴飛ばしてやる。そのつもりで、ちょうどいい」などとある。カラスについては、「ときどき、じっと見つめ合っていると、ふと互いの眼に共感のようなものがひらめく。そして何とも言いようのない孤独感を確認しあうのである」。
太郎さんがつきあっていたカラスは、巣から落ちた雛を育てていた知り合いからもらい受けたカラスで、親羽を切って餌を与えていた。
かつて私は、近所の天理教の教会の大木にカラスが巣を作ったとき、もしも雛が落ちたらちょうだい、と頼んだことがあった。その家の娘さんとつきあいがあったので頼んだのだが、翌日の彼女の答えは、河合さんの話で一晩、みんなで大笑いした、というものだった。誰もがカラスを嫌い、相手にしなかった。そんなことがあったので、太郎さんがカラスとつきあっていた、という話に、興味を持って開いた本である。
いま、私がつきあっているカラスは完全な野生である。今朝のことだ、雷を伴う夕立が来るという予報に、庭を片付けていたら2階のベランダの手すりにとまって大声で私を呼び立てる。いくら待っても私が下を向いていて気づかないので、我慢できずにわめき立てたのだ。
わかったわよ、と言って家に入り、二階にあがり窓を開けてベランダに出る、キャットフードを出してやる。私の動作は遅いから、だいぶ待つことになるのだが、根気よく待っている。利口で、記憶力も相当なものだ。見つめ合っていると、漆黒の瞳が物を言う。ひとつかみのキャットフードを食べ残すことはない。お腹いっぱいになると、残りは喉にため込んで運んでゆく。子育ての時は子に与え、余分なときはお気に入りの場所に蓄える。野生の嫌われ者だ、いつなんどき、不測の事態に見舞われないとも限らない。今日、この瞬間を極限感覚で生きている。そこが通じるゆえに、つきあいが続いているのだろう。
myExtraContent7
myExtraContent8