語り遺す戦場のリアル
14-08-16-10:49-
『語り遺す戦場のリアル』著者=共同通信「戦争証言」取材班 発行=岩波書店 2016年¥660 94頁 21cm 岩波ブックレットNo.954 ISBN9784002709543
著者=20〜30代を中心に50人の記者が担当。代表者の阿部拓郎は1971年生まれ。日向一宇は1972年生まれの記者。
内容=取材当時76〜106歳の67人の体験者の言葉。
感想=「はじめに」として見開きで書かれている言葉が、取材を終えて胸に畳み込んだ67人の心を背負い、気迫と感激に満ちている。
戦後80年の節目には、もう話を聞くことはかなわない、という思いで取材した、と記している。
67人というと、当時の国民学校の1クラスの人数だ。老いた67人は普段、普通にご飯を食べたりお茶を飲んだりテレビに目をやったりして過ごしていることだろう。明日は整形外科に行く日だ、というような予定を口にしても、あの頃のことは自分自身にも見えない、聞こえない、金庫みたいな堅く重い箱の中に封印しているのではないか。私自身が76〜106の真ん中くらいにいる年齢なので、そう思うのである。
1971年生まれという若い記者さんが、突然目の前に現れたからといって、待ってました、と口を開いたとは思えない。戦争直後は、あれこれ頭を動かしている暇はなかった、10年経って、戦後じゃない、という人が現れ始めた時は、聞こえない顔をしていたものだ。思い出したくもなかった20年後も、30年後も沈黙だった。もしも尋ねられたとしても、多分ごまかしたことだろう、さあね、知らない、とか言って。
こうして長いあいだ心の地獄に潜んでいた「あの時」が取材記者の熱意によって開かれた。もしかすると、記者さんの熱意だけでなく、ここまでの時間が必要だったのかもしれない。
ようやく、今なら言えるかもしれない、そんな気持ちにようやくたどり着いた人もいるのではないか。
第1部は「海外の戦場で」第2部は「戦場となった日本」。
ここに、このような内容なのですよ、と記す力はない。耐えられない。
黙って読み終えて「もう、重い荷を降ろしても大丈夫なんだ」という安心感に包まれた。
真っ当に戦争と平和に向き合い、未来を愛する世代が後に続いているんだ、という安心感である。
著者=20〜30代を中心に50人の記者が担当。代表者の阿部拓郎は1971年生まれ。日向一宇は1972年生まれの記者。
内容=取材当時76〜106歳の67人の体験者の言葉。
感想=「はじめに」として見開きで書かれている言葉が、取材を終えて胸に畳み込んだ67人の心を背負い、気迫と感激に満ちている。
戦後80年の節目には、もう話を聞くことはかなわない、という思いで取材した、と記している。
67人というと、当時の国民学校の1クラスの人数だ。老いた67人は普段、普通にご飯を食べたりお茶を飲んだりテレビに目をやったりして過ごしていることだろう。明日は整形外科に行く日だ、というような予定を口にしても、あの頃のことは自分自身にも見えない、聞こえない、金庫みたいな堅く重い箱の中に封印しているのではないか。私自身が76〜106の真ん中くらいにいる年齢なので、そう思うのである。
1971年生まれという若い記者さんが、突然目の前に現れたからといって、待ってました、と口を開いたとは思えない。戦争直後は、あれこれ頭を動かしている暇はなかった、10年経って、戦後じゃない、という人が現れ始めた時は、聞こえない顔をしていたものだ。思い出したくもなかった20年後も、30年後も沈黙だった。もしも尋ねられたとしても、多分ごまかしたことだろう、さあね、知らない、とか言って。
こうして長いあいだ心の地獄に潜んでいた「あの時」が取材記者の熱意によって開かれた。もしかすると、記者さんの熱意だけでなく、ここまでの時間が必要だったのかもしれない。
ようやく、今なら言えるかもしれない、そんな気持ちにようやくたどり着いた人もいるのではないか。
第1部は「海外の戦場で」第2部は「戦場となった日本」。
ここに、このような内容なのですよ、と記す力はない。耐えられない。
黙って読み終えて「もう、重い荷を降ろしても大丈夫なんだ」という安心感に包まれた。
真っ当に戦争と平和に向き合い、未来を愛する世代が後に続いているんだ、という安心感である。