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「人間国家への改革」

「人間国家」への改革』副題=参加保障型の福祉社会をつくる 著者=神野直彦(じんの なおひこ)発行=NHK出版2105年NHKBOOKS1231 226頁¥1300 ISBN9784140912317
著者=1946年埼玉県生まれ 東京大学名誉教授 専門=財政学
内容=歴史の「峠」に立ちて・「人間国家」へ舵を切る・財政を有効に機能させる・民主主義を活性化させる・人間国家が導くなつかしい未来。この5章のもと、財政と社会保障の専門家の立場から、これからの日本社会がどうあるべきかを考え、提案している。
感想=東日本大震災と時を同じくして脳梗塞に倒れた宇沢弘文氏が、亡くなる寸前に著者に、あるミッションを託した。そのミッションとは、宇沢弘文・神野直彦編『日本の課題ーAgenda for the Nation』全3巻の編集作業だった。宇沢弘文は原稿を完成させて、プロローグを添えて著者の許へ送り、著者は、担当部分とエピローグを完成させることになっていたのだった。これは宇沢先生の思想の集大成、と著者は、本書の中で書いている。こうした思いを背負っての本書であると感じた。
いま日本は、日本社会が「峠」にいることを知る必要がある、と説く。量産時代は過去のものだ。右肩上がりの経済成長を追う時代は大過去だ。ここで大転換をして「人間国家」へ爪先を向けよう。いままでの土木事業国家は終わった。人間の「生」「命」を最上位に置く社会を目指すためには現実を直視して危機を理解しよう。この見方は、先に読んだ『東京劣化』と共通する。立ち止まり、登ってきた峠道を振り返り、これから下る峠道の勾配や降り立つ場を見通すことが必要だ。最終章の「懐かしい未来」という言葉は、スウェーデンの映画監督ヘレナ・ノーバーク=ホッジの表現であり、かつて存在した緑と人間の絆が復活した未来だという。
産業革命以来の大転換をすべき、歴史的な時代に生き合わせたことを自覚して、従来の常識に囚われずに、新鮮な視点で未来を見つめ、新しい社会作りに取りかかる必要があると感じた。著者は民主主義の活性化を説いているが、これはなかなか難しい。私は、敗戦直後、天から舞い降りてきたかのように与えられた民主主義というものが、元来日本に定着していなかった、と感じている。故に、活性化以前の問題で、改めて民主主義を身につけるところから始める必要があると思う。
著者は、学びのサークルを薦める。また、ボランティアというものは、元来、リタイアした市民が行うものだと説く。この二つは、ほんとうに大切なことで大賛成だ。
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