文房 夢類
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文房 夢類

東京が壊滅する日

東京が壊滅する日』副題=フクシマと日本の運命 著者=広瀬隆(ひろせ たかし)発行=ダイヤモンド社2015年¥1600 350頁19cm ISBN9784478066768
著者=1943年東京生まれ ノンフィクション作家。1971年のスリーマイル島原子力発電所事故以来、反原発の声を上げ続けている。
内容=日本人の体内で内部被曝の影響が長期間をかけて進行し続けている現実に目を向ける。政府・東電などの情報隠蔽行為とその害について。自然界の地形が及ぼす影響について。ウラン産業と原爆が関係組織にもたらす巨額について。産業界のおぞましい人体実験について。ソ連とアメリカの水面下の癒着について。巨悪の本丸IAEAの正体とは。日本の原発から全世界へ流出する原爆の材料について。これらについて、マンハッタン計画が誕生した頃からの歩みを辿りつつ、現実を直視している。
感想=特定秘密保護法が、フクシマ、原発問題に深く関与し、最も知る必要がある国民に目隠しをする法律となっているのだ、と改めて深刻な危険を感じた。3・11以来、勉強を続けてきたゆえに、本書には周知の事柄も含まれている。が、これらは繰り返し語る必要がある。広瀬氏はいま現在の日本列島を基点として、全世界の過去から現在までを検証、未来を見通そうとしている。その視野は広く深い。222頁に「ここからが本書の重要な点である」と太字で記している。この第7章から終わりまでは目が離せない。読むにつれて沸々と怒りが湧く。広瀬氏が全身の力を傾けて、普通の人々を案じている、その気迫が伝わってくる。
さあ、これからどうなるんだ、日本は、世界は?
下り道しか見えてこない、暗澹とする。逃げるか? 黙るか?目を背けるか?
凶悪犯人が町の中で暴力を振るっているのをみつけたときに、一般人がどうしたらよいか、という本を読んだことがある。決して単独で止めに入ってはいけない。かといって逃げてはいけない。じゃあ、どうすればよいか。それは、武器を持たず、腕力もない普通の人たちが皆で遠巻きにして指さし、非難の声をあげることだと書いてあった。銃社会のアメリカの本だ。
いま、私たちの先頭に立って声を挙げてくれているひとりが、広瀬隆だ。まわりに集まり、指をさし、非難し続けようと思う。そうしないと日本政府は、10年後20年後30年後にガンを発症する人たちを、関係ない、と無視するに違いない。ひとりひとりの怒りは微力なものだが、散逸させ、埋もれさせてはいけないと、つくづく感じた。
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