文房 夢類
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文房 夢類

高齢初犯

高齢初犯』副題=あなたが突然、犯罪者になる日 著者=NNNドキュメント取材班 発行=ポプラ社 2014年9月新書版184頁¥780 ISBN9784591141632
内容=2013年12月に日本テレビ系ドキュメンタリー番組で放映され、反響を呼んだとして出版した新刊。高齢者が殺人・万引きなどをする世相についてとりあげ、10名の高齢犯罪者へのインタビュー内容を紹介、さいごにこんなことにならないための7箇条を作っている。
感想=年末に世情をあらわす新刊を取り上げようとしたが失敗した。このブログで取り上げるのは、読んだ本のうち5%にも満たない。本書は取り上げる範疇に入らない部類だが、ためになるところもあるので、敢えて書きます。
本書を読む人が得るものはあります。それは、テレビの視線と視力を、映像抜きの文字で知ることができる点。帯には「いつか、あなたもやってしまうかもしれない」そして「10人へのインタビューとともに日本を浸食する闇とそこからの脱出法を探る」とあるが、副題といい、この惹句といい下品極まりない、見世物小屋の呼び込み科白と感じた。なぜかというと、被取材者への敬意、愛情がなく、読者へ、これこそ伝えたいのだ、という熱意も感じられないから。他人事だよ〜、怖いよ〜、といった感じだ。
取材班と言うからには、何人かが束になってやったのだろうが基本的な数字が何もない。年齢、年間の犯罪者数、推移、その中で高齢者が占める割合、累犯との比較、さらに日本では、と繰り返す以上、外国諸国のデータも必要とされる。なにもない。行き当たりばったり10人に会ってきました。会ってみたら頑なでした。これでは開いた口がふさがらない。頑なでしたと白状しているとおり、心を開いて貰えなかったのだ。もしも、たった一人、一瞬でも良い、ハッと心打たれることを手渡して貰えていたら、最後の「高齢初犯に陥らないための7つの習慣」のなかに「発見」が書き込まれたことだろう。誰でも知っていることをかき集めただけの7つである。
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