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奄美 生命の鼓動

奄美 生命の鼓動』副題=海底のミステリーサークル 著者=大方洋二(おおかた ようじ)発行=講談社2016年230X270mm 84頁¥2900 ISBN9784062201025
著者=1942年東京出身1963年にスクーバダイビングの講習を受け、独学で水中撮影を始める。1981年からフリー水中写真家となり現在に至る。著書『もっと知りたい魚の世界』(海遊舎)など。全日本潜水連盟指導員・日本自然科学写真協会会員
内容=奄美の海の写真集。前半がミステリーサークル関係。後半は奄美のサンゴと魚たち。アオウミガメも。
感想=表紙の写真を見て、何? これ!
海底の砂に埋まったタイヤみたい。サブタイトルからすると、古代遺跡発見か?
放射状に凹凸を刻む砂の芸術にしばらく見とれた。これが小さな1匹のフグの仕事だったとは、驚きだった。
初めて目に留めたミステリーサークル。6月ごろになると現れる。大方さんと仲間たちは16回の6月を見守ってきた。
そして16年後にわかったことは、これがフグの産卵床であり、このフグが新種だったことだ。
アマミホシゾラフグと名付けられて、国際生物種探査研究所(ニューヨーク州立大学)によって「世界の新種トップ10-2015」に選ばれた。日本から選ばれたのは初めてだという。
これは写真集だが、この経緯について書かれている部分は読み応えがある。
半世紀を超えるキャリアの大方洋二さんが、カメラを通して見せてくれる奄美の海の中は、丁寧で緻密な視線の先に、しみじみと深い愛が見て取れる。高校時代に海に魅せられ、一旦は就職したものの一筋を貫いて今に至る靭さは、地球原初の命の母体である海世界への慈しみに支えられてきているに違いない。作品画面から滲み出してくる、こうした気配に接すると、画家の手にする絵筆に血が流れているように、カメラに脈打つ拍動が感じられる。
こんなかわいいの、いました。これって珍しいでしょ。そんなものではない。
海底に放置されたアンカーの写真。1997年撮影とある。そして次頁に10年後の写真。同じアンカーが、同じ場所に同じ姿勢で。
時を背負う写真集。そして、いやがうえにも人をも背負う写真集。
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