Site logo
Site logo
myExtraContent1
myExtraContent5

Site logo

ねこの秘密

『ねこの秘密』著者=山根明弘(やまねあきひろ) 発行=文藝春秋社 2014年9月 236頁 新書版 ¥770 ISBN978416660990
著者=1966年兵庫県生まれ国立環境研究所などを経て、北九州市立自然史・歴史博物館学芸員、専門は動物生態学と集団遺伝学
内容=ねこという種が生まれて、人と暮らし始めた発端の古代エジプト時代から現在までの簡略な歴史。赤ちゃんネコ誕生から老いて寿命が尽きるまでの姿。最後にねこと人の幸福な関係を求めて、著者の見解が語られる。
感想=私は犬との暮らしが長かった。はじめて猫と暮らすことになって、図書館で何冊ものネコ本を借りた。この本は、その1冊だが、すぐに買うことに決めた。話が逸れるが、こうした図書館の利用法がもっとも良い方法だ、と図書館員と話し合ったことがある。外国の書店では、店内に小さなデスクと椅子が用意されていて、売っている本の中から何冊か選び出して、ゆっくり内容を吟味できる環境が整えられている。私の知る限り神保町に一軒あるが、ほとんど普及していない。一般書店は衰退しており、店員の質は完全に変質して、店主でさえも書店員ではない。弁当でも売っているつもりではないか。逆に言うと、駅前書店などはコンビニと認識した方が腹が立たない。
それはともかく、私はアマゾンから買った。駅前書店で棚を見て回り、挙げ句に注文することになり、着いたら留守電に入れて貰い、出かけていって金を払い受け取る。これがネットから買う場合は、思い立った瞬間に画面をクリック、早ければ翌日配達してくれる。支払いは月末一括引き落とし。もしも駅前まで足を運べば、往復のバス代が加算される。しかも2往復である。比較にならない。
著者の山根さんは、ネコも専門に扱うが、サルの専門家でもある。7年間にわたり九州の小島で、ネコの生態と、同時に島の漁村の人々のネコに対する接し方も観察研究した、その現場が語られる。また、基本的なネコの五感や習性に関する部分は、確実な裏付けのもとに説明してくれるので大きな安心感がある。興味深かったのは、ネコの深夜の集会について。オスネコの同性愛について。メスネコが相手を選ぶときの、想像もしなかった「秘密」の態度などたくさんある。人間の場合はどうかな? と読んだのは、ネコのオスは子孫を残すのに数を重視する、メスは質を考えるという点だ。これが漠然とした印象を記しているのではなく、24時間不眠不休で追跡、観察という努力の成果を手渡してくれるのだから価値がある。著者が2度繰り返して書いていることがある。それは、毎年10万匹も殺処分されているネコを思いつつ、いまの人間たちとネコの関わり合う姿について、「ネコはなにも変わっていない。変わったのは人間なのだ」ということだ。私は、ネコに関する知識を得ただけではなく、ヒトとネコの有り様を深く考えることになった。ネコだけではなく、あらゆる動物について、この考えは拡がってゆく。
myExtraContent7
myExtraContent8