文房 夢類
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「テロに屈するな!」に屈するな

「テロに屈するな!」に屈するな』著者=森達也発行=岩波書店2015年岩波ブックレットNo.933 P88 ¥620 ISBN9784002709338
著者=映画監督・作家1956年広島県呉市生まれ。
内容=森達也氏が「屈するな!」に意欲的に正論をぶつける。第1章で「IS邦人殺害事件」を取り上げている。安倍首相らの言動をとりあげて、つぶさに検証してゆく。2人が殺されてしまったことへの無念さが強く伝わってきて、熱気が感じられ、強く同感する。
第2章はイギリスでテロについて考える、というタイトルだが、内容の主体は「オウム事件」。旅行記のような雰囲気もあり、焦点が散漫の気配がある。第3章では2011年にノルウェーで起きた連続テロ事件、77人が殺された大惨事を取り上げて、ノルウェーの元法相と話し合い、死刑の是非について論じている。終章では、ジョン・ダワー氏との対話も含めて、希望を見、知ることの大切さを強調する。
感想=真面目に正門から入り、大通りを通る印象。事実、この通りだとは思うのだが、私は、森氏のように純粋にはなれない。
安倍首相が、ことある度に連発するお題目「〜屈しては、なりません!」は、最近の日本人が、さまざまな罪に対して重い刑を望む風潮とリンクさせているように感じている。判決が出ると、軽すぎる、もっと極刑を、と怒る。どうして死刑じゃないんだ、という処罰感情。屈してはならない、という感情も同系列にある。脅してきたヤツに負けるものか。引き下がるものか、という抵抗意識が、「屈してはならない」にはある。負けるものか。許せない、もっと懲らしめろ、という情緒的、煽動的フレーズに過ぎない。好戦的な施政者が、国民を煽っている。安倍首相は、こういう感覚に優れている。
アタマにテロをつけようがエロをつけようが、安倍首相にとっては、それは二の次なのではないか? 国民の感情が、彼の望む方向へ揃って向くように仕掛けているのだ。これを見破り、戦争反対の精神を保つことが大切なのだ。この部分に切り込んで貰いたかった。☆☆
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