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魔法のホウキ

魔法のホウキThe Widow’s Broom 著者=Chris Van Allsburg クリス・ヴァン・オールズバーグ 訳=村上春樹 発行=河出書房1993年 ISBN9784309261874 ¥1740 縦長大型絵本 338X208mm
著者=1949年アメリカ・ミシガン州生まれ 児童文学作家・イラストレーター。ミシガン大学で彫刻を専攻したが、妻の勧めで絵本作家に転向した。3作品が映画化され、JUMANJI ジュマンジは、日本でもよく知られている。この作家の絵本はどれも村上春樹が翻訳している。
内容=大昔の秋、月夜に空から人が落ちてきた。それは魔女で、乗っていたホウキが故障して飛べなくなったからだった。魔女は他の魔女に助けてもらって空へ戻ったけれど、ダメになったホウキは捨てられ忘れられてしまった。ところがこのホウキが動き出して〜。
感想=横長の絵本は見慣れているけれど、この絵本は縦長。色はセピア色一色。魔女が使っていた魔法のホウキは、ちょっと変わった形に見える。
本の見返しに「ブックリスト・レビュー」がついていて「オールズバーグの作品の中でも最高傑作の部類に入る」とある。
文章は、この物語にふさわしい見事な雰囲気を湛える日本語に置き換えられている。村上春樹が、本業の翻訳家として語彙を吟味し選び抜いたことが窺われる。
ウィドウを後家さんと表現している点も、読み上げた場合の音の効果にも配慮していると感じられる。難しい漢字がたくさん出てくるが、こうした文字の選択判断は、詩人、田村隆一が童話を翻訳した時にも見られるものだ。この判断は、幼い者、日々成長する子たちに対する信頼と希望が基になっているのだろう。これ、読めない! 知りたい! という気持ちを掻き立てられて子供は進む。
後家さんに拾われたホウキは、たくさん役に立つことをする。ホウキは自発的に働いてくれる。その様子は映画「ファンタジア」の魔法使いの弟子そっくりだ。
しかし普通でない働きもしてしまうので、眠っているところを捕まえられて焼かれてしまう。その焼かれようは、魔女裁判で火あぶりになった魔女を思わせる。
後家さんが、眠っているホウキの居場所を村人たちに教えてしまうことなど、多くのシーンに重層的な意味が込められていて、読み聞かせをする大人は、子供が受け取る世界のほかに、歴史を踏まえた深い世界を感じ取ることができるだろう。

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