文房 夢類
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文房 夢類

人事の古代史

『人事の古代史』 副題=律令官人制からみた古代日本
著者=十川陽一   ちくま新書 1497   ISBN9784480073112 ¥860  発行=2020年 
著者=1980年千葉県生まれ 2009年慶応義塾大学大学院文学研究科後期博士課程単位取得退学。博士(史学)山形大学人文社会科学部准教授を経て、現在慶応義塾大学文学部准教授。
著書=『日本古代の国家と造営事業』『天皇側近たちの奈良時代』ともに吉川弘文館。
古代日本において、国家を運営するうえで律令官人制という仕組みが作られ、緻密な評価システムに基づいて天皇を中心とする官人統治がなされた。
そして政治が動き出し、官人の差配も変化し、報復左遷や飼い殺しのように見える人事もまかり通るようになったのだ。では、その実態は後のようなものだったのか?
人が人を管理するうえで起きるさまざまな問題を取り上げ、古代日本の新たな一面に光をあてる。
と扉裏にある。

1980年代生まれの学者が登場する世の中になった。
図表、写真、地図、グラフが必要に応じて提示されて理解を助ける。従来は文章によって表現されてきた内容の一部が、これらによって視覚化され、分かりやすい。
内容が古代律令制だから、それに似合った文章か。カタカナが多用される。
ぱっと、任意のページを開いてみよう。94ページが出た。こんな風な文章だ。
  たとえば「散位は、ポストに欠員がない場合~」
  「六位以下は、散位寮という官司に分番(パートタイム)で出仕するように。」
  「その間のキャリアに穴が開く」
  「三年分の実績もパアになってしまう」
これは、たまたま開いたページ、094だけに見つけた表現だ。

とにかく読んでいて楽に通じる。そうか、パアになっちゃうんだな、とわかるのである。キャリアと言われたら、ピンとくる。
この時代の制度、法律を見て行く道中、これは今時代の読み手が楽だ。ありがたいと感じた。
内容の感想はまたのこととして、この言葉感覚が律令世界の理解と把握に非常に役立っている。
語る態度も、考えも、文章も、のびのびとしている。
このことを、言いたかった。
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