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パンデミックを生き抜く

『パンデミックを生き抜く』副題 中世ペストに学ぶ新型コロナ対策 著者=濱田篤郎(はまだ あつお)発行=朝日新聞出版2020年 新書版 ISBN9784022950833 ¥810 238頁 朝日新書773
著者=1955年東京都生まれ。東京医科大学教授。同大学病院渡航者医療センター部長。東京都の感染症対策アドバイザー。東京慈恵会医科大学卒業、米国で熱帯感染症と渡航医学を学び、現職。
著書に『旅と病の三千年史』『歴史を変えた旅と病』『海外赴任者の健康と医療』など多数。
内容=全9章の見出しを挙げます。第1 感染症による人類滅亡の危機 2 ペスト流行記 第3 ペストでありペストでない 第4 どこから発生し、どこまで拡大したのか 第5 甚大な被害はなぜ起きたのか 第6 滅亡の危機をどのように回避したか 第7 日本にペストは波及したか 第8 中世以後のペストの行方 第9 新型コロナウイルス対策への福音。
以上
9章に先立ち、「新型コロナは史上最悪の感染症ではない」と題して、感染不安を抱えながら読み始める読者に対して、新型コロナウイルスを一口で説明してくれている。さあ、落ち着いて読んでいきましょう、という気持ちが生まれる一方、この手のウイルスは、この先いくらでもやってくる、もっと強い害毒を持つウイルスが、いずれ必ず襲ってくるのだということを、前提条件として突きつけられた思いがする。参考文献=p233236 
感想=著者は、およそ4年前からペストの歴史について執筆を続けてきたという。しかし今年の初め、思いもよらぬことにcovid19が来襲した。それならば単なる歴史本に終わらせずに、今現在の役に立つような本にしようと考えて、このような形にまとめたという。
本来がペストの歴史について著す予定であった故に、14世紀にヨーロッパや中東で大流行したペストの歴史が克明に記されている。私はペストという名は恐しい伝染病として知っていたが、それ以上の知識はなく、今回初めてペストの正体を知ることができた。
何に襲われているのかさえ見えず、予防法も知らない当時の人々が、どれほどの恐怖に怯え苦しんだことだろう。その被害は文字通り筆舌に尽くしがたいものがあった。

見開き一枚のグラフ。ここには20万年前の人類誕生から、21世紀、現在までの世界人口の推移が1本の線で表されている。その線は、まるで長い蛇が地を這い、20世紀に入り突然鎌首をもたげた姿だ、それも極めて高く!
見開きで一枚の地図がある。東に日本列島があり、西端に黒海が見えるユーラシア大陸の地図だ。これは著者が作った14世紀の東西交通路を太線で示した地図で、シルクロード、海のシルクロード、そして北京と黒海を結ぶ「草原の道」、この主要3本の交通路を中心とした通路が一目でわかる。
この太線が人と物とともにペストが運ばれたラインだ。当時は指折り数えられるほどの何本かの主要ロードが人と荷物を運んだ。ペストは、動く人に乗って移動した。が、今は地球まるごと細かい網目で覆いつくしたかのように交通網が発達している。
今回のcovid19を防ごうとして繰り出した方法は、なんとシルクロード時代と同じ方法、すなわち出入り口を塞ぐこと、封鎖することだけだった。そして今、ワクチンの供給を首を長くして待っている。
マスク。これは当時もあり、医師たちは長いくちばしの鳥のような面をかぶり、太い嘴の中に薬草を詰めていた。

この、目に見えない妖怪的病毒の正体が、初めは虫眼鏡、次に顕微鏡、やがて電子顕微鏡と、科学の発達につれて見えてきた。
なぜ、21世紀になって「新型」がやってきたのだろう。それは増えすぎた人間が、人間だけのために自然を減らし続けてきた結果、今まで触れ合う機会がなかった深い自然界に澱んでいたウイルスにまで身近に接することになった結果なのだという。
考えかたを改める必要があるのは、人類の側なのだった。

本書によって人類の足取りを検証し、先に掲げた『ウイルスの意味論』によって、ウイルスの正体を把握する。ここから私たちの態度を決めることができそうだ。そのためには、まず第一に人がどのように自然と付き合うかを考え直す必要があるのではないか。
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