社会を変えるには
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『社会を変えるには』小熊英二著 講談社現代新書 2012年発行 ISBN978-4-062881685 ¥1300 517頁
著者=1962年東京生まれ 東京大学大学院総合文化研究科国際社会科学専攻 慶応義塾大学総合政策学部教授
内容=いま日本でおきていることは、どういうことか。社会を変えるとは、どういうことか。歴史的、社会構造的、思想的に考え、社会運動の新しい可能性を探る。
感想=社会を変えたい、今のありように満足できない、という気持ちを抱えている人に有益な本。まず、自分の立ち位置を確認するところから、本書は始まる。平面的な座標上の「我々」「私」ではなく、3次元の座標に立ってみる。そのための作業が、現在に至るまでの歩みを述べている部分。最後に、ではどうするか。いままでは、討論して相手を凹ませる、言い負かす、自分の考えに相手を従わせる、感化させる、という形の討論ばかりだった、いまの国会討論を聞けば、見本のようなセリフが並んでいることが分かる。しかし、それでは上から目線の説教だろう、そうじゃなくて、問答によって、相手も変わるかもしれないが、自分自身も変わる、これが対話だろう。この対話から、社会が変わる一歩が踏み出せるんだ、と著者は言う。著者は、1年余り病に沈んでいたとのこと、そして拾った命、と現在を述懐している。生き死にの瀬戸際を通ると、些末なことはどうでもよくなり、発想も人生観も変わるにちがいない。我々も、3.11を経験し、だれしも考えを巡らせ、変わった部分を持ったはずだ。本書は、読んで終わりではない、本を閉じたところから活かす本です。私は、長らく、「同感する」人たちだけが集まる姿に不満と疑問を持っていて、この人の言い分は気に入った。説教ではなく、自分も変わる、という、ここが大事なところだと思う。テーブルの上に、互いに自分のカードを1枚づつ出してゆく、カードゲームのように。カードが積み重なって、そこに、新しい姿が現れるのを見るのは、凄く楽しいし、実りある行為だと思う。
著者=1962年東京生まれ 東京大学大学院総合文化研究科国際社会科学専攻 慶応義塾大学総合政策学部教授
内容=いま日本でおきていることは、どういうことか。社会を変えるとは、どういうことか。歴史的、社会構造的、思想的に考え、社会運動の新しい可能性を探る。
感想=社会を変えたい、今のありように満足できない、という気持ちを抱えている人に有益な本。まず、自分の立ち位置を確認するところから、本書は始まる。平面的な座標上の「我々」「私」ではなく、3次元の座標に立ってみる。そのための作業が、現在に至るまでの歩みを述べている部分。最後に、ではどうするか。いままでは、討論して相手を凹ませる、言い負かす、自分の考えに相手を従わせる、感化させる、という形の討論ばかりだった、いまの国会討論を聞けば、見本のようなセリフが並んでいることが分かる。しかし、それでは上から目線の説教だろう、そうじゃなくて、問答によって、相手も変わるかもしれないが、自分自身も変わる、これが対話だろう。この対話から、社会が変わる一歩が踏み出せるんだ、と著者は言う。著者は、1年余り病に沈んでいたとのこと、そして拾った命、と現在を述懐している。生き死にの瀬戸際を通ると、些末なことはどうでもよくなり、発想も人生観も変わるにちがいない。我々も、3.11を経験し、だれしも考えを巡らせ、変わった部分を持ったはずだ。本書は、読んで終わりではない、本を閉じたところから活かす本です。私は、長らく、「同感する」人たちだけが集まる姿に不満と疑問を持っていて、この人の言い分は気に入った。説教ではなく、自分も変わる、という、ここが大事なところだと思う。テーブルの上に、互いに自分のカードを1枚づつ出してゆく、カードゲームのように。カードが積み重なって、そこに、新しい姿が現れるのを見るのは、凄く楽しいし、実りある行為だと思う。