文房 夢類
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February 2019

2月がおわる、明日から弥生

今月のうちに、やはり記しておきたい出来事があります。
それは外猫のマルオがコウモリを捕まえてきたことです。
何日か前の早朝のことで、目ざとい息子が指差してコウモリ、と囁いたので気づきました。真っ黒い小さなドローンのようだった。
10歳近いかと思われるオス猫のマルオは、時たま小鳥やネズミを捕ってくる、獲物を食べてしまうこともありますが、ほとんどの場合、獲物は私へのプレゼントであり、いつも同じ場所、私が朝一番に引き開けるガラス戸の足元に置いています。
あら、と見下ろす。まああ、と驚く私を素知らぬ風で眺めています。マルオは猛烈な甘ったれで、その一端として貢ぎ物も持ってくるから、嫌でもなんでも、その気持ちに応えてありがとうを伝えないわけにはいきません。
夏の夕方に市民農園の上を飛んでいるコウモリが、どの家のどの場所で昼寝をしているかを知っているので、かわいそうでなりません。あまり寒い日がなかったこの冬、うっかり飛び出したのでしょうか。
このコウモリは群れているのではない、たった1匹の珍しい存在、単独で生きてきていました。都会ではハロウィンの添え物くらいのもの、しかも全く好かれないもの、私も好きなんて言えない生き物です。
はじめて近々と見た子ネズミそっくりのコウモリ。目を閉じて永遠の眠りについた小さな子に、たまらない愛おしさが溢れてしまい、多分忘れることはないでしょう。
早まって飛び出すなんてバカ、バカ。私は夏の間じゅう見上げていて、あなたを知っていたのよ。キミは独りぼっちじゃなかったんだから。私がいたんだよ!
一方、それは違う、と別の声がする。
いくら雪のない冬とはいえ零下の早朝が続いたのだから、寿命が来て命を終えたに違いない。傷一つないところを見ると、見つけたマルオは見捨てるに忍びなく、運んできて私に知らせてくれたんだ。
小さな命の終わりに揺れる気持ちが、落ち着ける椅子を探している。春は残酷な季節、死と背中合わせに姿を見せる。

雪の季節が去って行く

今日は2・26。あの日の朝の東京は深い雪だった。1メートルなんてものじゃなかった。
見ていたようなことを言うけれど、実は生まれて半年の赤ん坊だったので、いい加減なことを言っている。あの朝はね、と思い出話に耽る大人たちの話の聞きかじり。の記憶。
今年の東京の雪は、今のところ無に等しい状態だが、札幌の雪まつりは賑やかだった。
まだか、まだか、だいぶできたな、と待つうちに、あっという間に解け去って行く雪まつりの熱気。だからいい、と言えるのかも。
いままでは純白の世界だった雪まつりは、夜だけだが極彩色。今年の作で、大喜びしたのが初音ミク。
初音ミクが大好きで、録画したのを目を細めて眺めて喜んでいるのだが、まさか雪まつりに出演するとは夢にも思いませんでした。
ボーカロイドに生身の人間が心を寄せ、生人間が太鼓を叩いて共演するという現実は、雪まつりが果てても盛り上がる。

東風

二階庭と言い習わしている見晴らしのきくベランダで洗濯物を干した。連日の晴天で湿度が30%台、この乾季には屋内に風を通して乾燥させる。湿気の多い日本では、収納場所に戸を立てて閉め切る行為は愚かしい。
それはさておき気持ちの良い風が吹き渡り、落葉樹の小枝たちが潤いを帯びてきた。秋の終わりには水気を失い、黒く萎びていた枝が今は、潤いに満ち満ちて芽先の動きを誘うかのようだ。まわりの家の紅梅がまず紅色になり、いまは白梅が真っ盛り。とはいえ我が家のお向かいの梅は、ようやく目覚めを迎えたらしく、今朝ようやく、幾つかの白い蕾を見せた。
風は東風である。まさしく東から、しっかりとした勢いで吹き渡りくる風に、菅公のうた、東風吹かばを思い起こした。

立春の南風

関東の太平洋側では1月末から2月初旬が極寒の季節、猛暑は7月末から8月の初め頃と決まっている筈。それが今日は、なんと18℃から20℃という4月中旬の気温となった。
こんな番狂わせは滅多にないが、もしかしてこの先、天候の異変に見舞われることが増えるのではないかという予感がある。海水温の変化が気になるのだ、上昇している。
今日は久しぶりに地球儀を抱えてながめまわしたが、まあ、なんと海の広いこと。太平洋の広いことに改めて目を見張った。この太平洋の水温に変化が起きているということは、
並大抵ではない深刻な異変なのだと、素人目にもわかる。
私の地球儀は、正確な傾きなどは無視されている代物で、リビングの床に転がっている。
ビニールのボールの表面に世界地図が印刷されているといった方が早い地球儀だが、膝に乗せて見たいところをみるには具合がよい。
いま持っているのはバレーボールサイズなので、表示されている都市名が限られている。もっと大きなボールが欲しい。
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