文房 夢類
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8月末の田んぼ

今日は36度を超えるという予報だ。全国の天気情報を眺めた。新潟は県内あまねく雷注意報が出ている。毎日雷が心配だったなあ、と湯沢で暮らした日々を思った。
いまごろは一面の田んぼが黄金色に輝き始めているだろう。収穫の時を見計らう農家の人たちが期待を込めて見守っているだろう。
新潟県内では、魚沼地方のお米が有名だし、とても美味しい。魚沼産として出荷しているので、全国どこでも買うことができる。しかし魚沼の中でも南魚沼地方のお米が、とくに美味しい。さらに南魚沼地域内では塩沢米が最高だ。
土地のスーパーのお米売り場では、ご飯の試食をさせてくれる。土地の人たちは試食してみてお米を選ぶのである。直径2センチほどのご飯玉を並べてあり、食べ比べて選ぶのだが、私には差がわからない。土地の人たちの舌は、お米の味に非常に敏感だ。
塩沢という地域は限られたところだから、生産されるお米の量には限りがある。なかなか手に入らない。
しかし新幹線の停車駅、越後湯沢駅の構内の店で食べることができるので、興味のある方はぜひ、湯沢で塩沢米を味わっていただきたい。周辺では、特に塩沢米を使っていると表示している店もある。
私が、ほとんど毎朝通い、稲の成長を見守ったのが塩沢の田だった。冬は一面の雪原になるが5月から半年間の変化はめまぐるしく、目を見張るばかりだが、ひとつ、私は大きな勘違いをしていた。
それは田んぼの小さな流れにはドジョウがいて、カエルがいて、タニシやいろいろな虫たちがいて、メダカだって泳いでいるんだという田園風景を思い描いていたこと。これが違った。
ひとくちでいうと、稲田は戸外の大工場だった。魚野川から大口径のパイプで導入する水は、ハンドル操作で自在に調節されていた。生き物の姿は、カメラを持って突っ立っている私だけだった。
水の管理、病害虫からの防御だけではなかった、政治的にがんじがらめに管理されて身動きもできない現場の人々の姿が、素人の、外来者の、都会者の私にも見えた。
いま、私はビオトープを作って喜んでいるが、ビオトープの本家、田んぼからはすでに失われている姿なのだ。

台風とメダカ

来るぞ、来るぞと天気情報が報せる、そして台風がやってくる。今年は軽いものも合わせて3回あった。豪雨と強風に見舞われた地域には申し訳ないが、屋根が飛んだり床が浮くような被害はない。
初回と2回目まではビオトープに覆いをかけて、まだ小学生サイズも沢山いるメダカたちが雨に流されないように守った。
一昨日は3回目だった。台風の切れ端と見える低い灰色の雲が南から北へ走る。今夜が豪雨と確かめてから、お気に入りのパターン、アイスバーを持って湯船に首まで浸かって湯眠りを楽しんだ。
この歳になって、賢しら顏の医者の言うことなんか聞いてたまるか。湯船の湯眠りほど心地よいものはないのである。しかも片手にチョコアイスです。
が、ハッと気づいて愕然とした、ビオトープに覆いをかけることを忘れていた。水位を下げることも忘れていた。どうする? 諦めなさいよ、と自分に言い聞かせる。

朝、恐る恐るメダカを見に出た。澄み切って底まで透明になったビオトープの水面に、きらめく針のようなメダカ達が群れていた。5ミリほどの幼稚園児も、元気だった。
喜びがあふれたが、流されたのもいるに違いない、とマスを調べて回ったが1匹も見えないから、ほとんどのメダカが流されなかったのだ。よかったな!
春から観察してきたが、小さな入れ物でも育つが、広い場所で育てると運動量が桁違いだ。赤ん坊から大人メダカまで一緒にいると、小さな者は命がけで逃げなければ食われてしまう。
実際、食われてしまう数は多いが、生き残ったメダカは強靭な者が揃っている。
壺のメダカは、静かに向きを変えるくらいで泳がない。というか泳げない。居ながらにして餌を食べているから、幼稚園児を追いかけて取って食う必要もない。
だから小さい者も、弱い者も、みんな育って大人になれます。

引きこもりになった暑さ

一昔前は30度になった、と大騒ぎしたような気がする。去年は猛暑だった。40度になったところが暑さの名所になったし。
そして今年の暑さは去年以上だと思う。異常な暑さだ。
でもでも、不思議だと思いませんか? ためらわずにエアコンを使用して熱中症を防ぎましょう、室内で熱中症になることが多い。などと注意を促しているが、電力不足だ、という声は聞かない。あれほど原発がなかったら日本の電力は持たないのだ、原発か必要だと言っていたのにおかしな話だ。
話が逸れてしまった、話したいことは図書館のことです。
この暑さ。図書館へ行く元気がでない。私が行く図書館の一つは、10時から17時で、かんかん照りの真っ最中にだけ開いている。借りている本の延期貸し出しをネットから行い、家にじっとしていた。何しろ片道4000歩歩くのである。これが運動になるから続けているが、この暑さでは無理というものだ。台風のおかげで一息したので出かけた。
カードを出して予約本をと頼んだら、期日過ぎたので、ないです、という。たしかに取り置き期間は7日だけれど、8日目だからと期待したがダメだった。がっかりしたが、来られなかった私がいけないのだから仕方がない。
ダラけた足取りで帰る道々、百合の花があっちの庭にもこっちの植え込みにも咲いていた。純白の百合が発光しているかのように濃い緑の間から浮き立って見える。夕方が近づくと光を増す白百合の花。
百合のお花見ができて往復8000歩。よかったじゃないの。よかったわ。でも予約が何人もいる人気の本じゃなくて、書庫から出してきてくれた古本だから、もうちょっと待っていてくれてもよかったんじゃないかなあ。甘ったれるな。規則は規則です。そういうもんかなあ。そりゃそうです。じゃないと世の中続きませんよ。個人の意見を尋ねられると、はっきりしたことを言いたがらない、曖昧な答えをする人が、決められた規則があるとなると、すごく強くなって硬くなって、おっかないのよね。それって、ありますよね。そういう時って、こっちの目をまともに見ないでしょ。なんか書類に目を落としたりしてるよ。歩きながらのひとり問答で、帰りの4000歩が400くらいに短くなった。
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