文房 夢類
文房 夢類
myExtraContent1
myExtraContent5

増えたコウモリ

朝立ち、夕立ち。雨が降るわけではない、朝夕、猫の富士を散歩に連れ出して立ちん坊をしている。
これが犬だったら、跳び跳ねるような気持ちが溢れて笑顔いっぱい、先に立って歩く。千早はどこまでも歩いた。
ところがお富士さんは違う。ガレージで正座し、やがて横になり伸びをし、道の真ん中に進み出た、と思うとまた正座。
そこへマルオが現れる、マルオも同様の佇まいである。動かない。
こうして15分、30分を過ごす。猫散歩というよりも猫立ち。朝立って夕方また立ちん坊。
風が吹く雲が行く。虫が飛ぶ鳥も飛ぶ。時に車が通り人が行き来する。それを網戸越しではない、身近に感じながら座る。
歩いたら私の運動になるのにと思いながら立っているが、姿勢を整えて立つことも座禅か、と気づいてからは立つ時間を大切にするようになった。
薄暮の道際に立っていたら、コウモリが頭の上に来た。鳥の飛び方と違って、こまめに方向転換を繰り返すのですぐわかる。
たった1匹いたのが死んでしまい、もう二度と現れないだろうと悲しがっていたコウモリだ。わ、わっ! 3匹も飛んでいる。
よかったなあ! 市民農園の上を飛び回って餌をとり、我が家の近くに来て寝る。
あまりにも嬉しかったので、この人なら追いかけまわさないだろうという人を選んで知らせた。びっくり。そして笑顔になってくれた。
myExtraContent7
myExtraContent8