文房 夢類
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水場

夏真っ盛り。今日から8月です。人間の家々でひしめく隙間に、野生生物たちの水場があります。そうした水場が私の家にもある。ひとつは、元梅干しを漬けていた常滑焼の壷。ひとつは、わが壷猫が入っていた壷で、韓国から漬物を運んできたと聞いている壷。まだあって、雨樋の下の雨水用水槽など。これらの水場に集まる野生生物たちの種類は豊富です。もっとも逞しいのがボウフラと呼ばれる蚊の幼虫で、唯一のお邪魔虫です。トンボが産卵にくる。チョウチョが水を飲みに来る。アシナガバチも水を飲みに来ます。今年は、アマゾンフロッグビットという浮草を入れたので、虫たちは大喜びです。というのは水を飲みたくても水辺に足を置く場所がないと飲めません。浮草の葉に降りて、ゆっくりと水を飲みます。ハチを見つけると、とっさに「刺される」と緊張して、手で払いのけようとしたり、大慌てで逃げたりする人がいますが、そういう人に限って追いかけられて刺されるものと決まっています。猫も水を飲みに来ますが、鼻先を飛ぶハチは刺しません。それは急激な動きをしないからです。突然の急激な動きは、ハチにとって攻撃行動と認識されますから、防衛に立ち上がるのです。ハチがいたら刺されると思え、とスプレー缶を振り回すヒトは、観察をしようともせずに、伝え聞いた情報、確かめることもせずに信じ込んだ偽情報をもとに、罪もない生き物を殺す、愚かで残酷な生物です。ヒト以外の水場の生物たちは、ほんとうに穏やかに共存しています。
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