文房 夢類
文房 夢類
myExtraContent1
myExtraContent5

市民農園

近くに市民農園がある。細かく区画を作り、2年刻みで貸し出している。約10平方で、1年につき8000円。抽選で借りるという。
2年間楽しんで去った人の後に、改めて新しい人がやってきて野菜などを育てるのだが、まずは耕して石灰、肥料を投入。期待する稔りは、とうもろこし、ナス、トマトなどが多い。
この市民農園ができる以前のこと、農家から直接借りた土地で野菜を作っていた時期があった。
この時は朝から夕方まで、畑に入り浸っていた。借りた畑も広かった。そして何かお礼はしていたとは思うけれど、只で使わせてもらっていた畑だった。
農家の人が文字通りの師匠だったので、毎日が発見と感激に包まれていた。鍬を担いで畑に通うのが嬉しかった。
当時、高齢だった師匠から学んだことは、師匠亡きいまも生きている。野菜作りを離れても暮らしに生きている。
いま、8月が終わり9月に入り、市民農園のフェンス沿いの雑草が大繁茂している。潤沢な肥料の余波だろうか、信じられないほどの育ちようだ。
ああしたら、こうすれば、とか、つい思ってしまうが。
師匠ほどの高齢になった私は、自分の持ち物を人に手渡すことができない。伝えたいのに。社交的な性質でないからだろうか?
しかし私の師匠はぶっきらぼうで、口が重く、たいてい下を向いている人だった。
たまに長話をしてくれるときは、遥かに見える丹沢の山並みに目を放って独り言のようだった。
myExtraContent7
myExtraContent8