文房 夢類
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富士ねこ働く

富士山が世界遺産に登録された年に生まれたので富士という立派な名前をもらったねこの富士。取り柄はトイレのマナーが良いことと、数語を理解する事でしょうか、私に似ているところは食いしん坊の大食漢。最近は下腹が床すれすれになるほど肥満している。これも似た者同士だから、すこぶる仲が良い。
さて、この富士が理解不能な態度をする。それは寒い玄関に走り出て、三和土に降り、うづくまって臭いを取るのだ。ドアを開けると玄関に飛んでゆく。見回しても何もない、が何もないはずがないのだ。こうしたときの動物の能力は人に勝るものだ。私は三和土にしゃがんで富士の鼻先に顔を近づけてみた。あった。強いすきま風だった。
床下から極寒の風が三和土に流れ込んでいた。富士っ 謎が解けたぞ! と叫んだら富士は見上げて、にゃに? と言った。この隙間からカマドウマが入ってきていたのだ。入るはずがないのに、なぜ我が家に出没するのか、不思議でならなかったのだ。充填剤で隙間を埋めた。窓を1㎝ほど閉め忘れた程度の大損失をいままで気付かなかったのだ。いまはまだ、充填剤のにおいが残っているが、これで燃費も多少よくなり、大嫌いな虫も出ないはず、と期待している。
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