檸檬
30-01-16 11:02
1月が終わる、2月がくる、春が近づく。
爽やかな話題をひとつ。
檸檬を送って頂いた。枝葉のついた、新鮮な大きなレモンふたつ。送ったくださった方の庭に実ったレモン。一緒に名も知れぬ大玉ミカンもあり、ミカンの大樹の写真が添えられていた。夏みかんではない、温州ミカンではない。何ミカンかしら?
レモンは大好きだけれど、私が使うレモンには浅緑色のスタンプが押してあり、それはカリフォルニアから運ばれてきた印なのだ。広島でレモンが獲れるとは聞いていたが見たこともなく、国産レモンを手にしたのは、これがはじめてだ。送り主の住所は、まさに広島の近くである。
写真を撮ったのでご覧に入れます。よく私を理解している方である故、これはレモンですよ、と札をつけてくださった、それも見えるように撮影しました。
漢字二文字の檸檬から、梶井基次郎の『檸檬』が浮かび、ついで昔話「わらしべ長者」に出てくるミカンを思った。
観音様に願掛けをした貧乏男が、1本のワラから始まり、次々に物々交換をして長者になる話。その途中で、ミカンを手に入れた男が、喉が渇いている商人にミカンをあげて、お礼に商品の反物を貰うという件に出てくるミカンである。
子どもの頃に読んだこの物語を私は、いつしか勝手に変形して抱えてきた。それは、旅の途にあるお姫さまが、道ばたの木の根方に座り込んでいる。喉が渇いて動けなくなったのだ。そこへ丸々とした輝くミカンを差し出した男がいた。お姫さまはミカンで生き返った。勿論、私の物語は、お姫さまと男のめでたしめでたしだったが、大事な点は、水ではなく、ミカンがノドの渇きを潤したことだったのだ。ミカン連想はさらに続き、空海が嵯峨天皇に橘の実を献じた、その光景に飛ぶ。嵯峨天皇を友達扱いにしていた空海。それを喜ぶ嵯峨帝。空海は、いまで言う「ため口」をきいたに違いない。審美眼にすぐれた嵯峨の帝が、黄金の輝きをみせる果実を愛でるありさまが目に浮かぶ。
このところ、潤いが足りなかったんだ、と檸檬を掌に受けて気がついた。
爽やかな話題をひとつ。
檸檬を送って頂いた。枝葉のついた、新鮮な大きなレモンふたつ。送ったくださった方の庭に実ったレモン。一緒に名も知れぬ大玉ミカンもあり、ミカンの大樹の写真が添えられていた。夏みかんではない、温州ミカンではない。何ミカンかしら?
レモンは大好きだけれど、私が使うレモンには浅緑色のスタンプが押してあり、それはカリフォルニアから運ばれてきた印なのだ。広島でレモンが獲れるとは聞いていたが見たこともなく、国産レモンを手にしたのは、これがはじめてだ。送り主の住所は、まさに広島の近くである。
写真を撮ったのでご覧に入れます。よく私を理解している方である故、これはレモンですよ、と札をつけてくださった、それも見えるように撮影しました。
漢字二文字の檸檬から、梶井基次郎の『檸檬』が浮かび、ついで昔話「わらしべ長者」に出てくるミカンを思った。
観音様に願掛けをした貧乏男が、1本のワラから始まり、次々に物々交換をして長者になる話。その途中で、ミカンを手に入れた男が、喉が渇いている商人にミカンをあげて、お礼に商品の反物を貰うという件に出てくるミカンである。
子どもの頃に読んだこの物語を私は、いつしか勝手に変形して抱えてきた。それは、旅の途にあるお姫さまが、道ばたの木の根方に座り込んでいる。喉が渇いて動けなくなったのだ。そこへ丸々とした輝くミカンを差し出した男がいた。お姫さまはミカンで生き返った。勿論、私の物語は、お姫さまと男のめでたしめでたしだったが、大事な点は、水ではなく、ミカンがノドの渇きを潤したことだったのだ。ミカン連想はさらに続き、空海が嵯峨天皇に橘の実を献じた、その光景に飛ぶ。嵯峨天皇を友達扱いにしていた空海。それを喜ぶ嵯峨帝。空海は、いまで言う「ため口」をきいたに違いない。審美眼にすぐれた嵯峨の帝が、黄金の輝きをみせる果実を愛でるありさまが目に浮かぶ。
このところ、潤いが足りなかったんだ、と檸檬を掌に受けて気がついた。