文房 夢類
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これが自然界かと

昨夜来の雨が上がり、力のある朝日が射した。用意しておいた3個のバケツに雨水が溢れている。福島の空から運ばれてくる重苦しい黒灰色のわだかまりは、もうなくなっている。
この水は蒸留水と言っても良い、良い水なのでメダカの水槽の水に使うつもり。
ぱっと見た目にも、減ってしまった私の可愛い、大事なメダカたちだが、いいもんね、これから9月までに、どんどん卵を産んでもらうもんね。
緋メダカもたくさんいるけれど、原種に近いフナのような色のメダカたち。最近の豪華絢爛なメダカではないけれど、だからこそかけがえのない自然色のメダカたちだ。
それが、盗まれ続けていたのだ。あまりにもショックが大きすぎて、自分自身に伝えることもできなかった。
しかし今朝は、気を取り直している。イザナギも言い返したではないか、千人の命を奪うなら、われは千五百の産屋を建てよう。
大切な命を奪われた時の発想とは、これか、と体感した。怒りと悲しみを込めて、まず声に出したのが「どんどん生んでもらうもんね!」だった。

何があったか。
ざっと見たところ、タモでひとすくいしたら100や200は軽く入る程度に泳いでいた。浅いビオトープのメダカたちだ。
毎朝、ヤゴが這い出してトンボになって発って行く、小さな平和な場所だった。
ある朝、布袋草がコンクリートの上にあった。メダカは、この浮き草の根に産卵し、夜は根の間に入って眠る。
なんか、不穏な感じがした。多摩川の河川敷にアライグマがいる映像を見たばかりだ。金網で蓋を作った。アライグマは夜行性だから、夕方に蓋をした。
間もなくの朝、金網の上に糞があった。糞は犬猫の大きさと形状だが、金網の上とは犬猫の態度とは考えられない。
早速MAMAL FINDER というハンドブックを見た。これはアメリカの本で、動物の骨、足跡、糞などから種類を特定しようという少年少女向きのもの。
あった、ありました。まさしくラクーン、アライグマの糞であった。よかった、これで防げた。
しかし、メダカは減り続けた。なんで? と不安になる。また減っている。目に見えて減ってゆく。タモでひとすくいしたら10匹も入らないだろう。
わからない、金網で隅々まで覆ってあるからアライグマが手を出せるはずはなかった。朝、金網を外し、夕方に覆う日々が続いた。
おとといの夕、最後の餌やり時間だった、ビオトープの縁から一羽のカラスが、庭の真ん中へ向かって歩いてきた。マルオがいるのに? とマルオを見たら老齢の彼は眠っている。
で、カラスに目を転じた瞬間、息が止まった、カラスがくちばしを左右にしごいたのだ、手近の棒に。やられた、カラスだったか。
私はカラスと仲良くしていた時期があるので、くちばしをしごく動作が食後の身だしなみであることを知っている。
もう、許せなかった。だからと言って、カラスを吊るし首にするわけにもいかない。
昼間に金網を取り払っておいてやらないと、水際の虫たちが産卵できない。トンボたちには気の毒だけれど、昼間も金網をかぶせておくことにした。
ヤゴはメダカの天敵だが、両方いて欲しい。ボウフラの駆除にはメダカが欠かせない。う〜〜ん! 思わず唸ってしまう。
ヤゴ、メダカ、カラス、アライグマ、ボウフラ。そして私だって自然界の中の生き物なんだから。
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