文房 夢類
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視覚障害者情報文化センター

先日、合同庁舎へ出かけた時、偶々「川崎市視覚障害者情報文化センター」の催しをしていた。川崎市には以前から「盲人図書館」があり、これを発展させて幅広い情報提供をすることにしたのがこの施設で、2014年に開設した。展示されている補助用品のほとんどが、少し視力のある人たちのための道具だった。一通り見学して終わるつもりだったのが、山ほどの話を伺うことができて感激した。
予想外だったことは、点字を使う人が視覚障害者の10%程度だということだった。なぜか、ではどのように対処しているか、を学ぶことができた。
映画を観る視覚障害者のために、映像部分を説明する音声を付け加えてあるのを見せていただいた。数は、まだ限られていて「ローマの休日」が展示されていた。
「こんな古い映画を少し、ですが」と白杖を手にして説明してくださる会場の方がおっしゃった。「これ、とっても役に立ちますね」と私は言った。思い出の映画の話題が出たとき一緒に話せるわ。名画は一度見て終わりじゃない、後々の話題ですもの。私たちは意気投合して長い立ち話をした。
1月に開かれたイベントの話を聞かせてくださった。それは武蔵野美術大学で音響文化論を教えていられる佐々木幸弥さんが講師として蓄音機の話をされたそうだが、佐々木先生ご自身も弱視だとのこと。伺った中で印象的だったことは、エジソンが蓄音機を発明した翌年に「蓄音機の未来」という題でアメリカの雑誌に投稿した記事の内容だ。この記事の中でエジソンは、蓄音機のメリットとして、音楽鑑賞よりも先に「視覚障害者の読書」を挙げていたそうだ。140年も前に、エジソンは蓄音機が視覚障害者の読書に果たす役割を願っていたのだ。今、視覚障害者はデジタル録音読書ができるようになった。エジソンは大喜びしていることだろう。そうだったの、エジソンさんて、そういう方だったのね、と私は心に滲みました。
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