文房 夢類
文房 夢類
myExtraContent1
myExtraContent5

日めくりカレンダー

生まれて初めて日めくりカレンダーというものを使っている。
これ、使う? とお正月に子どもが見せてくれたのを、欲しいっ とねだってもらい、1日欠かさず1日一枚、めくってきた。
薄い紙の下辺に一行、格言というか、言い習わしている一言が記されている。たとえば「取らぬ狸の皮算用」「子をもって知る親の恩」など。
その一つに「言わぬは言うに勝る」というのがあった。つい、何日か前のことです。
この慣用句の意味するところは、あれこれ言葉を重ねるよりも、じーっと見つめて何も言わない方が、はるかに強く深く、自分の思いを相手に伝えることができるものだ、
というようなことだろうか。恋人同士だったら、目に浮かぶ光景。
でも。
「悪貨は良貨を駆逐する」という格言がある。関係なさそうなこの二つの格言を重ねてみた。
世の中の出来事を目にしながら、そして関係のないことではない政治の動向などについても、よく見ており、よく理解もしているにもかかわらず沈黙を守る人々は多い。
嘘をつき、横車を押し、欲望のままに法律をも歪める政治家を眺めていても沈黙を続ける人々が大勢いる。
市井に埋もれて暮らす無名の一個人が発言しても、何ほどの効果があろうか。むしろ個人としての発言は、マイナス要因として我が身に降りかかってくるだけではないか。だから黙っているのだ。
賢いゆえの沈黙だろう。諦めが根にあるかもしれない。これほど庶民がないがしろにされている政策の渦中で生きてゆくためには、自分で自分の身を守るしかない。止むに止まれぬ選択の沈黙。
結果、はびこるのは悪貨と言える我欲に満ちた政治家集団だ。護身の沈黙は無視され、むしろ不満はないのだと思われ、歪んだ政策が世にはびこる。
良識ある沈黙の集団の思いを集めたら、と夢を追おうとするが無残に暗転してしまう。
myExtraContent7
myExtraContent8