文房 夢類
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大きくなったら、何になりたい

新年には、常日頃思わぬ事柄を思い巡らせるものか。
小さい時に、大きくなったら何になりたいか、と尋ねられたことが何回もあった。
家庭では親戚の大人たちから、もてなしの一つのような感じで問われ、学校では先生が全員に答えさせた。国語算数、答えに困ったことはなかったが、この質問にだけは、いつも困り果て、沈黙してしまったことを思いだす。
思いつかなかった、なりたいものがなかった。誰もが嬉々として答えるのに。
それが、正月二日の今日、ハッとわかったのだ、見えたのだ。
私がなりたいもの、それはおばあさんになることだった。
80歳台に乗ったから、もうおばあさんになったと言えるな、と思って神様か仏様か森羅万象かわかりませんが感謝の心を捧げている。
近くは3.11の大津波に攫われて命を落とした幼い子らを思い、遠くは敗戦前後に死んでいった子どもたちを思い、そう、この中には私の妹も含まれているのだ、おばあさんになりたかったよねえ、と胸ふさがり、正月早々涙するのだ。
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