子連れ仕事
30-06-16 09:52
乳幼児を連れて通勤、仕事をしている企業を紹介しているテレビニュースを見た。一見、中小企業の小企業にみえる小さな事務所だった。デスクのPCに向かって仕事をしている人たちの中に、赤ちゃんが眠っているカートを脇に引き寄せて、ときどき揺りかごのように動かしている若い女性がいた。こんど3人目が産まれるんです、と嬉しそうな女性もいた。この会社は、床にカーペットが敷いてあり、よちよち歩きの子がぶつからないようにと、デスクの角にクッションをつけている。続きの小部屋でおむつを替えるお母さん。
私は、すぐにジャマイカの図書館を思い出していた。デスクに向かうお母さんの膝に寄りかかって私を見上げていた坊や。母親のそばに子どもがいる、あたりまえでしょ、と私を見つめた受付の女性職員も思い出した。
世のすべて、でなくてよい。あちこちに、こんな仕事場があることを抱え込む社会が育つのは自然なことだと思った。
もうひとつ思い出したことがある。それは猟犬のことで、子を産んだ母犬は、猟に使えないという話。
猟犬には、勇猛果敢な雄犬よりも、慎重で、主人の命令によく従う雌犬が好まれるのだが、子持ちはダメだ、とこれは日本犬に詳しい柳沢琢郎さんからじかに伺ったことだ。赤ちゃんにたっぷりお乳を飲ませたのを見届けて猟に連れ出す。山道で次第にお乳が張ってくる。このとき一気に母の心に戻ってしまい、獲物の臭いなどはそっちのけ、主人の言葉も耳に入らず、一目散に山を駆け下りて子犬の所へ戻ってしまうのだそうだ。
狼の群では、繁殖を認められるのはαだけで、他の牡は一生独身である。この独身おじさんが狩りに出てゆく群の留守番をして、離乳した幼児の保育をする。上司の言うことに耳を貸さず、赤ちゃんに駆け寄る母犬、あっちにウロウロ、こっちにウロウロの幼児たちを怪我や外敵から守り、保育する狼のおじさんたち。いいなあ、と思う。一番大事なものを守ろうと動いている。
私は、すぐにジャマイカの図書館を思い出していた。デスクに向かうお母さんの膝に寄りかかって私を見上げていた坊や。母親のそばに子どもがいる、あたりまえでしょ、と私を見つめた受付の女性職員も思い出した。
世のすべて、でなくてよい。あちこちに、こんな仕事場があることを抱え込む社会が育つのは自然なことだと思った。
もうひとつ思い出したことがある。それは猟犬のことで、子を産んだ母犬は、猟に使えないという話。
猟犬には、勇猛果敢な雄犬よりも、慎重で、主人の命令によく従う雌犬が好まれるのだが、子持ちはダメだ、とこれは日本犬に詳しい柳沢琢郎さんからじかに伺ったことだ。赤ちゃんにたっぷりお乳を飲ませたのを見届けて猟に連れ出す。山道で次第にお乳が張ってくる。このとき一気に母の心に戻ってしまい、獲物の臭いなどはそっちのけ、主人の言葉も耳に入らず、一目散に山を駆け下りて子犬の所へ戻ってしまうのだそうだ。
狼の群では、繁殖を認められるのはαだけで、他の牡は一生独身である。この独身おじさんが狩りに出てゆく群の留守番をして、離乳した幼児の保育をする。上司の言うことに耳を貸さず、赤ちゃんに駆け寄る母犬、あっちにウロウロ、こっちにウロウロの幼児たちを怪我や外敵から守り、保育する狼のおじさんたち。いいなあ、と思う。一番大事なものを守ろうと動いている。